PhotoXPress撮影
「ウクルタトナフタ」社は、ウクライナ最大の石油製品生産会社「クレメンチュク石油精製工場」(能力1860万トン)を基盤として、設立された。当初はタタールスタンとの合弁企業として活動し、支配株式(55.66%)をタトネフチとその関係組織からなるタタールスタン側が保有していた。ウクライナ国家資産基金(FGU)およびウクライナの「ナフトガス」社の保有株は43.05%。1.1%をウクライナの実業家イーゴリ・コロモイスキー氏のグループ「プリヴァト」が保有していた。
「タトネフチ」は石油精製工場に高硫黄原油を供給し、工場の現代化の問題を検討していた。
「乗っ取られた」と訴え
ところが2000~2006年、両当事者の間で係争が生じ、裁判の結果、タタールスタンの保有株がほぼゼロになり、「プリヴァト」に近い新たな株主があらわれた。
「タトネフチ」のナイリ・マガノフ最高責任者はフォーブス誌の取材に対し、起こった問題は乗っ取りだと説明した。「タトネフチ」は2008年、国際仲裁裁判所に提訴。
当初は5億2000万ドル(約520億円)の損害賠償の支払いを求めていたが、その後金額は24億ドル(約2400億円)まで上昇。国際仲裁裁判所は訴えの一部を認め、1億ドル(約100億円)の支払いを命じた。
ロシアの分析会社「スモール・レターズ」のヴィタリー・クリュコフ社長によると、この金額では「タトネフチ」の損失を補償できないが、ロシア側の訴えの正当性が認められたという点で、裁判の著しい前進を示しているという。
ウクライナのパヴェル・ペトレンコ法相は、今月末までに上訴する意向を示した。モスクワの法律事務所「ニコラエフ&パートナーズ」のユーリ・ニコラエフ氏は、ウクライナが仲裁裁判所の決定を拒めば、ウクライナの国営企業が保有する海外口座の資金など、外国にあるウクライナの資産を補償として請求できると話す。
*以下の記事を参照。
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