「パイプラインはつねにバイヤー次第」

サハリン州のアレクサンドル・ホロシャーヴィン知事(中央)=PhotoXPress撮影

サハリン州のアレクサンドル・ホロシャーヴィン知事(中央)=PhotoXPress撮影

米国による対露制裁導入の後、ロシア東部のサハリン島に液化天然ガス工場を建設するアメリカのエクソンモービルとロシアの「ロスネフチ」のプロジェクトを含む露米共同プロジェクトの実現が危ぶまれた。このガスは、中国、日本、インドといったアジア市場へ供給されることになっている。サハリン州のアレクサンドル・ホロシャーヴィン知事は、ロシアNOWへのインタビューでプロジェクトの現状について語った。

―アメリカのエクソンモービルも出資しているサハリンにおける液化天然ガスプロジェクトの行方は、米国サイドからの制裁によってどう変わりましたか?アメリカ側はプロジェクトから撤退するとの噂もありますが、そうした場合にサハリン州には財政面を含めたサポートを行う用意がありますか? 

 それはあくまでも噂にすぎません。あたかもサハリン州政府がアメリカのエクソン社の代わりに「サハリン-1」プロジェクトに参加する問題を検討しているかのようなデマをいったい誰が飛ばしたのでしょう。それは事実無根であり、そうした問題は検討されたことも議題にのぼったこともありません。エクソン社にはプロジェクト「サハリン-1」から撤退する予定がないばかりか、同社にとって「サハリン-1」は最も関心のある効率的なプロジェクトの一つであり、同社は同プロジェクトへの投資を増やしており事業の変更など考えてはいません。先だってエクソンモービルのレックス・ティラーソン最高経営責任者と会いしましたが、現時点においてプロジェクトの撤退が問題になっていないことは確かです。

 

一番目のLNG工場の生産力はどれくらいですか?それはすでに設定出力で稼働しているのでしょうか? 

 現在稼働中のプリゴロドノエのLNG工場の生産力は、年間960万トンですが、これは限界ではなく、昨年は、約1100万トンを生産しました。工場の第三ラインが建設されて始動すれば、生産量はさらに500万トン増加します。第二段階は、アメリカのエクソンモービルとロシアの「ロスネフチ」の共同プロジェクトで、その枠内では、「サハリン-1」プロジェクトの資源および「ロスネフチ」がサハリン島に所有する資源が活用されます。この工場の第一ラインは、約500万トンのLNGを加工しますが、将来は、それが1000万トンにまで拡大されます。同工場への投資の総額は、約150億ドルです。プロジェクトは、現在、いわゆる「プロフィット」の段階にあり、今のところ、同工場を建設するための二つの用地が検討されています。7月には、プロジェクトの第二段階がスタートし、その枠内で、用地が決定されて事業化調査を行う会社が選定されます。

 

LNGプロジェクトが地域の経済に及ぼす影響とは?

 この種のプロジェクトは、ひじょうに大きなマルチ効果をもたらします。LNG工場が始動するためには、生産施設、港湾、ガス輸送船、パイプラインなどを建造しなくてはなりませんから。こうした作業には、多数の労働者が必要で、彼らには、住宅をはじめとする生活に必要なすべてのものを保障しなくてはなりません。すると、中小ビジネスが栄え、税収が増え、経済や社会分野が発展し、サハリンおよびクリル(千島)の島民の生活の質が向上します。数字がそのことを示しています。現在、サハリン州には50万人が住んでいますが、1万件の求人に対して登録されている求職者の数は約1500人という状態です。

 

―最近、日本の国会議員たちは、サハリンから東京までガス輸送システムを建設するプランを支持しましたが、このプロジェクトは、どれほど現実味のあるものなのか、そして、地域におけるLNG発展プロジェクトのライバルとみなせるのでしょうか? 

 サハリンから北海道までガスパイプラインを建設するというのは、日本側の提案ですが、私たちは、今のところこの問題を検討していません。プロジェクトは、約60億ドルの投資を見込んでいますが、ガスパイプラインはLNGとは異なりつねにバイヤー次第である、ということを忘れてはなりません。

 

現在のサハリン州の主な収入源はどういったものであり、化石燃料の輸出はどのような役割を演じているのでしょうか? 

 石油ガス部門は、サハリン州の経済において主導的な役割を演じており、その発展は、州内の経済成長を左右する主な要因の一つとなっています。発展の主要な方向として、石油ガス部門や石炭産業やエネルギー経済を含む燃料エネルギー複合体と漁業複合体を挙げることができ、この二つが、地域を発展させる両輪となっています。燃料エネルギー複合体の製品は、主な輸出品となっており、2013年のサハリン州の輸出全体に占めるその割合は、94,6%(2012年は94,5%)でした。

 

―サハリン州は、化石燃料とは無縁なものを含めて、他にどんな投資プロジェクトを提案していますか? 

 私たちは、現在、エネルギー経済分野の複数のプロジェクトに取り組んでいます。単に原料をパイプラインで運んでいるだけでは、いずれ行き詰ってしまいますから、私たちは、液化ガスの加工を含む加工の問題に従事しており、現在、「ガス・トゥー・リキッド」といった方面に力を入れ、ガスコンデンセートのモーター燃料への加工を目指しています。また、日本のパートナーとともに「アジア・スーパーリング」というたいへん興味深いプロジェクトを提案しています。このプロジェクトは、ハバロフスク地方とサハリン州に三つの大型の石炭発電所を建設するもので、この「リング」には、中国、モンゴル、韓国、ロシア、日本が参加します。プロジェクトは、現在、協議されていますが、先日、日本での大きな会議に参加した際の印象では、日本側はこのプロジェクトの実現にかなり期待しているようでした。

 

―サハリンは観光の面でも大きな潜在力を秘めていますが、アジア諸国などから外国人観光客を誘致するためにどのような策が講じられていますか? 

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今も日本の面影

 観光は、サハリン州のきわめて有望な経済部門の一つです。サハリンおよびクリル(千島)の島々は、アルペンスキーやダイビングや海洋クルージングのためのこのうえない可能性を秘めており、この地域は、温泉や鉱泉や鉱泥の産地に恵まれ、史跡や文化財もたいへん豊富です。ところが、地域内総生産に占める観光の割合は1%に満たず、観光ポテンシャルがまだまだ活用されていないのが現実で、それを実現するための条件づくりが急務となっています。