専門家らは、ウクライナ情勢の悪化が政府の計画に影響することはなく、また提案されている優遇措置に投資家は関心を示すと考えている=ロシア通信撮影
政府会議で昨年3月21日、ロシア東部の発展が国の経済の新たな成長要因となる可能性が指摘された。これは世界経済の状況を受けての話である。ヴィクトル・イシャエフ極東発展相(当時)はこう述べていた。「欧州の体系的不況の深刻化が、欧州における自国の立場を失うことなく、順調な発展を続ける環太平洋諸国とより活発に連携する方向へとロシアを押しやる。このためには、ロシア東部全体の経済・社会発展モデルを大きく変える必要がある」
ドミトリー・メドベージェフ首相は、極東と東シベリアの開発費用を概算で発表。「現時点での総見積融資額は10兆ルーブル(約30兆円)以上。これは巨額だが、国の融資、借金、民間投資に分散される」
投資を呼び込めるようなシベリアと極東のより効率的な発展形態として、専門家らは「率先発展領域」をあげた。つまり、投資家が輸出目的を含む新しい生産を企画できるような、複数の経済特区(工業団地や技術・農業団地)をこの地域に創設するということだ。このような場所には特恵条件がある。政府内ではすでに、「極東社会・経済率先発展領域創設に関する」法案が審議にかけられている。
発展のための特恵
「率先発展領域」は、中国、シンガポール、インド、ミャンマーで成功している形態。極東発展省は現在、条件に合いそうな候補地選びを行っている。専門家らは潜在的な投資家のために、最適な優遇条件を定めようとしている。
アレクサンドル・ガルシュカ極東発展相は、税優遇措置以外にも、建設、通関規定、技術規定などに絡む許可の行政手続きの簡略化を提案した。
このような法律の緩和に賛成しているのは、脱工業化社会研究センターのウラジスラフ・イノゼムツェフ科学指導員。「シベリアと極東はより自由であるべき。有用鉱物の鉱床の開発、石油・ガス・パイプラインやその他の輸送インフラの建設や購入の可能性を与える必要がある」
国家と民間のパートナーシップは、発展地域におけるビジネスにとって、もっとも効果的な形態であると専門家は話す。分野については、農業、石油化学、アジア市場への輸出用紙材の生産を中心とした木材の深加工に潜在性があると考えている。
「ウクライナ情勢に左右されず」
イノゼムツェフ科学指導員は潜在的な提携国として、たくさんの新しい技術を生み、諸外国の投資プロジェクトにおいてそれをしっかりと活用している、日本と韓国をあげる。また、アメリカとカナダも入る。これらの国々には、ロシアに近い経済条件のある地域で、豊富な開発経験がある。
目まぐるしく変わるウクライナ情勢は、上述の計画に影響しないと、専門家らは考えている。
アメリカ人投資家の計画は政治情勢の影響を受けるほど大規模なものではないと、ロシア経済・国家行政アカデミー国家経済規制講座のウラジーミル・クリマノフ主任は考える。
国立経済高等学院・地域経済学・経済地理学講座主任であるアレクセイ・スコピン教授はこう話す。「極東におけるアメリカとヨーロッパの投資の割合は、それほど大きくならない可能性が高い。二桁にも満たないだろう。主な投資は日本と中国から行われる。中国はロシアとウクライナの情勢について、中立的立場を取ることを示している」
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