ビットコインはご法度に?

ビットコイン=ロイター通信撮影

ビットコイン=ロイター通信撮影

ロシアにおける法人によるビットコインの利用は、公式に禁止されうる。今のところ、中央銀行は、仮想通貨の取引はどうも怪しいとの警告を発したにすぎないが、事実上、ロシアは、初めて国家レベルでビットコインに対する態度を表明したと言える。要は、信用していないのだ。ロシアNOWは、クリプトカレンシー(仮想通貨)について、一般市民、企業家、専門家らに意見を訊いた。

「いかがわしいところもあるビットコイン」 

 アレクセイさん(仮名)は、こう語る。どうして仮名なのかは、後で分かる。「私は、一年半前にビットコインのことを耳にして、半年後には最初のビットコインを買いました。その間にビットコインの人気は高まりましたが、それがはっきりしたのは、ヴァージングループのリチャード・ブランソン会長が、準軌道飛行はビットコインで支払える、と声明したときです。私は、ビットコインを、丸ごとではなくその一部を、当時のレートで1500ルーブル(約4500円)分、買いました」

 アレクセイさんは、こう振り返る。「私は、もっぱらシステムそのものに対する興味から、それらのコードを手に入れました。国家とは無縁の通貨とは一体どんなものか知りたかったのです。ビットコインの最初の部分は、会社のロゴタイプに費やしました。美術家は、仮想通貨による謝礼でロゴタイプを描いてくれたのです。それから、アフリカの慈善基金へも何度かビットコインを送りました。彼らにとっては、この仮想通貨のほうが自国の通貨よりもはるかに信用でき、しかも、ビットコインは、決済がひじょうに低コストですから」

 ビットコインの主な特徴の一つは、匿名性。ビットコインの所有者やトランザクションを特定することはできず、ビットコインを保管するイーウォレット(電子財布)は無記名であり、ユーザーがこれを悪用してインターネットで非合法の商品を購入するケースも珍しくない。

 アレクセイさんは、こう話す。「インターネットには、ビットコインでいろいろな禁止薬物が買えるフォーラムのような体裁をとったサイトがあります。けれども、そうしたサイトのあるネットワークは暗号化されており、それは複雑なシステムなので、誰かになりすましてそこへ入れば、自分のIPアドレスを特定されることはありません」

 

ロシアの企業家の経験 

 ミハイルさんは、サブウェイというフランチャイズのカフェを二軒所有している。どちらの店でも、ビットコインで支払いができるが、それは、進んだ学生を想定してのこと。ミハイルさんは、これからはルーブルやドルではなくクリプトカレンシーの時代と考えている。中央銀行の公式の指令が出るまでは、これまで通りビットコインを受けつけるとして、こう語った。「犯罪者たちは現金やクレジットカードも利用しており、そちらのほうを取り締まるべきです」

 個人ドライバーサービス会社「ウィリー」がビットコインによる支払いを受けつけるようになったのは、つい一週間前のこと。同社のマーケティング責任者セルゲイ・カリュージヌイさんは、その間に合計1000ドル=約10万円(1,2ビットコイン)分のクリプトカレンシーによる決済があったとし、こう語る。「それらのトランザクションを行うために、私たちは、「ビットコインでの支払い」というタグを私たちのサイトに付ける権利を与えてくれたアメリカの会社のサービスを利用しています」

 セルゲイさんは、こう指摘する。「ロシアには無記名の支払いというものは存在しません。ですから、ビットコインの明確な禁止がないという現状では、それを今さら拒否する根拠が見いだせません」

 サンクトペテルブルク近郊のペトロドヴォレーツの時計工場「ラケータ」も、同様のスキームを用いており、同工場の管理クリエーティブ責任者ジャック・フォン・ポリエさんは、こう語る。「ビットコインの利用は、私たちにとって最初から実験でして、今のところ、クリプトカレンシーを用いた販売の95%は、西側の市場です」

 

中央銀行と同意見の専門家たち

 専門家の大部分は、中央銀行の姿勢を支持している。彼らの考えでは、仮にロシアでビットコインの利用が禁止されても、企業の活動に負の作用をもたらさず、個人にもまったく影響が及ばない。

 ガスプロムバンクの経済予想センター・主任専門家マクシム・ペトロネヴィチさんは、こう述べる。「ビットコインに対する主なクレームは、その通貨には何の物的保障もないということです。それらは、ひとえに、それを使って何かが買えるという市民の信用のうえに成り立っています。金融システムにとっての危険性は、ビットコインが価値を失いかねないという点にあります。今のところ、その価値は、ビットコインがひじょうに発生しずらいことによって担保されています」

 インベストカフェのアナリストであるミハイル・クジミンさんは、こう話す。「個人的な目的でビットコインを利用している人たちがその禁止によって大きな害を被ることはないでしょう。ビットコインのマイニングや移動は中央銀行によってまったく規制されていないのですから。しかも、ビットコインを交換できないのはルーブルだけで、主要な外国の交換所での仮想通貨の購入を妨げるものはありません」

 分析センター「ゼキュリオン」のウラジーミル・ウリヤノフ所長は、こう語る。「ロシアでは、ビットコインは、支払いのためというよりはむしろ蓄財として利用されています。このクリプトカレンシーのレートが上昇するポテンシャルに気づいた同システムの参加者たちは、それに飛びついて、かなりの収入を手にしました。ロシアにおけるビットコインの流通は微々たるものですから、中央銀行の姿勢が状況を変えることはまずないでしょう」