EUに対して初のWTO提訴

PhotoXPress撮影

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ロシアが欧州連合(EU)をWTOに提訴した。EUはロシアの鉄鋼製品と化学製品に対し、「エネルギー調整」と称される22~28%の反ダンピング関税をかけている。

 EUはロシアのエネルギー価格ではなく、ヨーロッパの製品価格で計算している。ロシアのガス価格は下げられているというのがEUの意見。これにもとづき、ロシア製品のなかで、まず鉄鋼製品と化学製品に一連の保護措置が適用されている。「関税適用のメカニズムはWTO規定に違反すると考える」とロシア連邦経済発展省貿易交渉部のマクシム・メドヴェトコフ部長は話した。

 EUは他のWTO加盟国の製品に対しても「エネルギー調整」を適用しているが、提訴した国はないため、今回のロシアの動きが前例になる可能性もある。WTOの規則に従い、60日間の協議の猶予が与えられる。両者が協議によって問題を解決できなかった場合、ロシアは独立仲裁人のグループを創設する権利を 得る。仲裁人はWTO規定と反ダンピング措置の適合性を判断する。

 

報復措置との見方も 

 ロシアの鉄鋼会社と化学会社の一部は、今回の動きに満足している。だが、ロシアの動きは、EUがロシアの廃車税を不当だとして、WTOに提訴したことへの報復措置、と考える関係者もいる。

 消息筋の1人はコメルサント紙にこう話した。「このような状況において、ロシアもWTOの枠内で、保護措置を活用できるということを示すことが非常に重要」。

 サンクトペテルブルク国立大学世界経済講座主任のセルゲイ・ストィリン氏はこう話す。「WTO内部の紛争は一般的なプロセス。ロシアがこれを始める時期を早めれば、その分自国の利益を早く守ることができる。ロシアにはまだ提訴した経験がないが、これなしには済まない」

 

コメルサント紙RBCデイリー紙の記事を参照。

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