「日本たばこ産業」とアメリカの「フィリップ・モリス・インターナショナル」は、ロシア最大のたばこ流通網の共同所有者になる=ロイター通信撮影
JTグループは12月初め、ロシアの企業グループ「メガポリス」が所有する、持ち株会社「メガポリス・ディストリビューション(MD)」の株式の20%を取得することで合意した。メガポリスはロシアのたばこ流通市場で、70%以上のシェアを持つ。昨年は15万ヶ所以上の販売拠点に、2600億本のたばこを納入した。PMIも同時に、MDの株式20%の取得について合意を行った。
JT とPMIが各20%
株式取得は31日までに完了する。JTとメガポリスは2007年からたばこの流通で提携しており、今回の取り引きは自然な流れと言える。メガポリスはJTインターナショナルが重視しているロシア市場での成功に寄与したと、同社のCIS諸国現地法人のケビン・トムリンソン社長は話す。「今回の取得は流通 分野におけるメガポリスのポテンシャルを高め、この地域における当社の成長戦略をより効率的に実現するもの」
JTの20%の株式取得額は7億5000万ドル(約750億円)。
ロシア最大の流通会社に出資することは、道理にかなった動きだ。ロシア市場も禁煙傾向の影響を受けている。JTの予測によると、今年度のロシア市場のたばこ需要は7%低下する。「この主な要因は、マクロ経済指標の弱さと増税」とJTは伝えた。
今回の取り引きには、当然ながら”おいしい”部分もある。メガポリスはイギリスの「インペリアル・タバコ」の製品の流通も行っているため、JTとPMIはさらなる競争優位性を備えることになるのだ。
反喫煙法の市場への影響は
今年成立したロシア連邦法「環境たばこ煙の悪影響および喫煙の有害な結果から市民の健康を守ることについて」は、公共の場での喫煙を禁じ、たばこ税の増税を定めている。ロシアの投資分析会社「インヴェストカフェ」のアナリスト、ロマン・グリンチェンコ氏は、この法律が需要に与える影響は小さいと考える。「6月1日に施行されたばかりで、罰金もこれ以降に科されている。また、法律の適用もそれほど進んでいない。違反者に対して、実際に罰則が科せられるようになるのは、しばらく時間が経過してからになる可能性がある」と、たばこ生産量の減少と闇市場の成長はたばこ税の増税が主な原因だと強調しながら、ロシアNOWに話した。「一部データによると、違法なたばこの市場は今年300%拡大し、全販売量の6%を占めている」。たばこ税は来年さらに引き上げられる計画があるため、販売が一層落ち込む(約10%)可能性があると考える。
JTはロシア市場で豊富な品ぞろえを提供している。中でも販売量が多いのは「ウィンストン」。「販売の環境は厳しくなっているが、当社のブランドの競争力を強化しながら、続けていきたい」とJT。
たばこメーカーの対策
グリンチェンコ氏は、ロシアでタバコの宣伝が禁じられたことから、販売促進の新たな手段を考案しなければいけなくなっていることを指摘。「2箱買ったら1箱プレゼントといった、あらゆる販売促進の方法が模索されている。2016年にたばこ税が凍結され、たばこの違法流通の防止策が強化される見通しがあるから、これも一つの解決になる。たばこメーカーは販売量を維持したり、販売量減少のスピードを落としたりするために、ロシアの政治生活により積極的に関与しなければいけなくなる」
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。