タス通信撮影
コンニャク製品を製造、販売する、株式会社「北毛久呂保」の兵藤武志社長は、ロシアNOWの取材に対し、ロシア人の10人に1人が5年後、少なくとも週 2回コンニャクを食べることを、販売計画の目標としていると話す。ロシアにおける現在の需要を考えると、極めて野心的であると言うことができる。コンニャクを知っている人も0%に近い。
群馬代表団がモスクワでセミナー
コンニャクの生産地として日本で有名な群馬県利根郡昭和村は10月中旬、代表団をモスクワに送りこんだ。そこではロシア国立高等経済学院・東洋学科と協力し、日本の伝統的な食についての公開セミナーを開催。ロシア人にコンニャクとは何かを説明し、これを材料とした料理をふるまった。ロシアへの販路拡大の理由はわかりやすい。日本政府はコンニャク生産農家への補助金を支給しなくなる可能性があり、そうなればこの製品の価格が高騰し、中国産やマレーシア産の安いコンニャクに日本産が負けてしまう。
群馬県の関係者は、コンニャクのカロリーがほぼゼロであることを、周知させようとしている。コンニャクはカロリーが低いだけでなく、胃の中で2倍にふくらむため、満腹感も得られる。
“大国”ロシア
ロシアにおける体重過多の問題はここ数年、深刻化している。国連報告によると、ロシアは肥満人口の多さで世界第19位に位置し、”G20”のメンバーになっている。ロシア医療科学アカデミーのデータでは、30歳以上の女性の60%、男性の50%が体重過多に悩み、 さらに男女合わせて30%が肥満に悩んでいる。体重過多から、薬剤治療が必要となる慢性肥満になるロシア人も増加している。
ロシアの病院のデータによると、ロシア人の疾患の30~50%が、食事に関連している。ロシア料理は高カロリーだが、都市部ではオフィス・プランクトン (ホワイトカラーを意味するロシア語のスラング)や自動車を所有する人が増加しているため、住人の生活は非活動的になる一方。また心血管系疾患、癌、肥満、糖尿病、また栄養の偏りによる死亡率は、他の先進国よりも高い。ロシアの食料品店には有機食品がほとんどなく、低カロリー食の供給が活発ではない。低糖、低脂肪食品を購入するには、大きなスーパーに出向かねばならない。
「とくに女性や糖尿病の患者にお薦め」
ロシア連邦保健省は現在、正常な生活と健康を取り戻すための文書を作成している。またマスメディアでは、毎日1万歩歩き、塩分を著しく抑え、果物や野菜の割合を高めるよう、呼びかけが行われている。しかしながら、これをどう実践するのかよくわからない。
したがって日本の提案は、ぴったりと言える。ロシアでのコンニャクの販売拡大プロジェクトには、北毛久呂保の他、株式会社「あかぎチキン」、株式会社「市川食品」が参加している。
兵藤社長は、誰よりも健康と美を維持したい女性や、糖尿病の患者に適していると話す。「我々のプロジェクトでは、ロシア市場は潜在的な大市場。広くこの食品を知ってもらうことが大切。4年前にロシア極東の食料品見本市に初めて参加してから、ロシアのマーケティングに時間をかけてきたが、機が熟した」。
ロシアでの現地生産化については、まだわからないようだ。ロシアの気候は厳しいため、コンニャクの栽培が難しいと話す。だが今のところ、技術を移管することを完全に断念してはいない。
無理なダイエットに走りがちなロシア女性
ロシアの女性向けポータルサイト「パッション・ル」のアンナ・プラトノワ編集長は、ロシアではコンニャクがまったく新しい食品であるものの、女性は自然食品や食事療法による健康的な痩せ方により関心を持っているため、人気が出る可能性は十分あると話す。
「残念ながら、ロシア国民の多くが肥満に悩んでいる。そのうちの大部分が女性だけれど、男性に比べて、なかなか簡単に痩せることができないため、手に入るあらゆる物を使って厳しいダイエット生活を始める。ただ関連サイトの検索システムのキーワードで判断すると、自然療法、民間療法、食事療法などをより信用しているようだ」。
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