タス通信撮影
これまでのところ、ロシアの対日本輸出の80%は炭化水素や原材料が占めており、両国ともこの協力関係の多様化に取り組んでいるが、ロシアはアジア市場における立場の強化を目指しているため、依然としてエネルギーの供給が露日間の貿易で重要な位置を占めていく可能性が高い。
なぜ今アジアでLNG生産が有利なのか
日本のLNG(液化天然ガス)の輸入量が増加したのは、東日本大震災によるもので、2011年3月に大地震が日本を襲った後、日本は原子力発電所の稼働を徐々に停止し、ガスに頼る決定を下した。
一方のロシアは、ヨーロッパ経済が停滞し、米国でシェールガスの生産が本格化した結果、新たな市場の開拓を余儀なくされた。
こういう状況にありながら、開発可能なLNGの探査を先延ばしし、魅力的なアジア市場の一部を獲得する機会を逸したことに対して、多くの専門家はロシア当局を批判した。
それというのも、ロシアの国営独占ガス会社のガスプロムは、高額のガスパイプラインを建設することに力を注いでいたが、これらのパイプラインがつないでいるのは、ガスの消費額を節約し始めた可能性が大きい国だったからだ。
液体ガスを満載したタンカーを利用すれば、変化の激しい市場において、生産者が販売先をより自由に選ぶことができる。
アジアにおけるLNG価格は、ヨーロッパと比べて3割近く高値になっており、生産者としては、日本、インドや韓国などのアジアに販売先を切り替えた方が、より高収益を得られるのだ。
流動的な市場
おまけに、日本は世界最大の液体天然ガス消費国だ。2012年には、1,190億立方メートル近いLNGを輸入している。
ところが、BP社の統計レビューによると、ロシアは2012年に113億立方メートルの液体天然ガスを日本に輸出したにすぎない。
つまり成長の余地は十分にある。同年に、カタール、オーストラリアおよびマレーシアから日本に供給されたLNGの量は、その2倍に及んだ。
米国エネルギー省エネルギー情報局によると、2011年の日本のLNG輸入においてロシアが占める割合は、9%にしか満たなかった。
だが、ロシア政府はエネルギー政策の転換を図っているため、この数字は高くなる見込みだ。
待たれるLNG輸出自由化
現在の法律で、国外に石油やガスを販売することが許可されているのは、国営のガスプロムのみだ。
他の生産者(すなわち、日本企業との提携関係にあるノヴァテクやロスネフチ)がLNGを取引できるようにする法律を政府が制定すれば、同社の独占状態は終焉を告げる。
輸出許可証は、油田・ガス田の開発からガスの圧縮処理に至るまでのすべての生産プロセスに従事する企業に与えられことになるだろう。
ガスプロムも手をこまねいているわけではない。これまでロシアに唯一存在していたLNG生産工場は、ガスプロムが稼働させているが、さらに同社は、ロシアのヨーロッパ側と極東に、それぞれ1個所ずつ生産工場を建設することをめざしている。
先にガスプロムは、日本に近いウラジオストクでのLNG工場建設に、伊藤忠商事、千代田化工建設およびJGCの日本企業を招致することを検討中だと明らかにした。
ロスネフチとノヴァテクと日本の提携
日本政府は、国内にLNGを調達するために国外エネルギープロジェクトに参画する企業の支援に精力的だ。
三井と三菱は、サハリン2プロジェクトに対する出資率を拡大する可能性について、交渉を重ねている(両社は現在、それぞれ12.5%と10%ずつの株式を保有している)。
さらに両社とも、ロシアのもうひとつのLNG工場建設におけるパートナー企業になる可能性がある。現在、その株式の大半は、独立系ガス生産会社のノヴァテクが保有している。
しばらくの間、ノヴァテクは、ヤマルLNGプロジェクトの、最高で9%の株式の買収について、インドおよび日本の企業と交渉してきた。
出資パートナーのうち、外国勢は、フランスのトタルと中国の中国石油天然気集団公司(CNPC)だ。ノヴァテクは、近いうちに決定を公表すると約束したが、中には、同社が日本企業と合意に達するのではないかと見ている専門家もいる。
ロシア企業が関心を持っているのは、開発期の財政面での関与だけでなく、長期的LNG供給の合意でもあるからだ。世界最大のLNG輸入国である日本は、この条件を完全に満たしている。
もう一つのロシアの巨大エネルギー企業である石油会社のロスネフチは、2018年に同社サハリン工場が操業を開始した後、日本が出資するソデコと丸紅に対し、225万トンのLNGを供給する旨の契約を締結したとすでに発表している。
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