「スバルのディーラー網をロシアで拡充」

ロシア市場向け、より重要なスバルのモデルはフォレスターである。=Getty Images/Fotobank撮影

ロシア市場向け、より重要なスバルのモデルはフォレスターである。=Getty Images/Fotobank撮影

「富士重工業」のロシアの現地法人「スバル・モーター」の吉田和志社長に、ロシアでの自動車生産、価格方針、新しいモデルなどについてインタビューを行った。

「スバル・モーター」の

吉田和志社長

 -御社は最近、ロシアにおける自動車生産計画を停止されました。これは最終的な決定でしょうか、それとも長期的な計画が承認されるまでの一時的な凍結でしょうか。

 最終決定ではなく、現在ロシア国内でのディーラー網の拡充といった、他の課題があるために、この問題についての協議を一定期間延期しただけです。 現地生産化とは、ある程度の販売台数を確保できていることを意味します。販売台数が少ない状態で生産に投資することは、経済的に得策ではありません。

 

-ロシア市場では自動車の販売台数の落ち込みが見られます。この落ち込みの原因は何だとお考えですか。またこのような状況下でどのような自社戦略をお考えですか。

 確かにロシア市場は今年初めの予測どおりとはなっていません。現時点で、昨年と比べて販売台数が減少していることがわかります。ただしこのような状況の なか、当社の自動車の販売は約20%の成長率で伸びており、今年は1万2000台のスバル自動車を販売する予定です。多くの自動車会社がマイナスになっていますが、当社はプラスになっています。2016年までに年間2万台を販売し、その後2017~2018年までに3万台に増やす計画を立てています。

 

-ロシアで生産を始めるために、どれほどの販売台数が必要なのでしょうか。

 完全なサイクルの生産となりますと、当社の計算では年間3~4万台まで増やさないといけません。したがいまして、決められた時期までに年間3万台を達成することが、とても重要となります。

 

-スバルの自動車は、さまざまな長所を考えても、他の日本車と比較してかなり割高だと考える人が多いです。このような価格方針に変更のご予定はありますか。

 ロシアでの販売価格は日本円の為替レートに依存します。2008年の金融危機の際、対ルーブルで45%の円高になりました。これは他のどの通貨よりも高い割合です。同じ製品なのに、45%も値上がりするわけですから、いろいろと考えなければなりませんでした。自動車をこの分値上げすることはありませんでしたが、損失を出さぬよう、価格を変えざるをえませんでした。現在はやや円安になったので、状況は変わっています。当社の価格にはより柔軟性があるのです。

 

-ディーラー網を拡充する計画についてお話しになりました。地方で異なった対応をするというお考えはありますか。

 そのようなことはありません。ロシア全域で同じように展開します。ただブランディングについては、方法を少々変更します。スバル自動車のエンジン構造と四輪駆動の調和が何をもたらすかをご理解いただけるような、よりオープンなブランディングを図っていきます。物理法則は、エンジン構造による低重心で、 もっとも安全で安定した自動車となっていることを示しています。ですが、物理の専門用語は難解なので、これをわかりやすい言葉に変えて、皆様にお伝えしようと思っています。

 

-今ここで、わかりやすい言葉でブランディングを説明できますか。

 はい。私どもはこれを気づかいと考えています。

 

―気づかいですか。

 そうです。例えばあなたが家の主だとします。あなたにはご家族がいらっしゃって、夫として、主として、家族が安全でいられるよう願うわけです。そして例えばあなたの娘さんが成長し、自分の自動車がほしいと言います。父であるあなたが、もっとも安全な自動車は何だろうと考えた時、スバル自動車がそのような自動車であるということをご存じであれば、娘さんにはその自動車をお選びになりますね。これが家族を守りたい気持ち、すなわち気づかいです。ここから当社とお客様の関係を築いていこうとしています。最大限にオープンでありたいというのは、そのためです。自動車の売買だけでは、このような気持ちは伝えられません。潜在的なお客様とお話しし、スバルが何かをご説明することが大切なのです。

 

-ロシア車「ラーダ」はロシア国内でもっとも売れている自動車です。ですが売れている理由は何よりも手ごろな価格です。ロシアでそのような購入者が安全性を第一に考えるかといったら、必ずしもそうではない気がしますが。

 おっしゃるとおりです。しかしながら、100~200万ルーブル(約300~600万円)の安全な自動車を購入する方も、一定割合いらっしゃいます。この方々をターゲット層としています。

 

-ロシア市場向けの、より重要なスバルのモデルは何でしょうか。

 フォレスターです。

 

-それはなぜですか。

 ここにもロシア国内に生産拠点がないということが関係してきます。市場でもっとも売れているセグメントはCセグメントですが、Cセグメントは今日、ロシ アで生産されているモデルで埋め尽くされています。残念ながら当社はここで生産を行っていませんので、Cセグメントでは競争できないのです。当社の売りは四輪駆動なので、クロスオーバーに重きを置いています。このラインで一番売れているのがフォレスターなのです。正直なところ、スバルのポートフォリオにお けるフォレスターの販売割合は、常に50%以上を占めてきました。