急成長する会社のランキングで大きく躍進したのは、IT企業であり、冶金や自動車販売といった従来のリーダーらは、過去の栄光を振り返るばかり =Getty Images/Fotobank撮影
注射の効き目が切れると鈍化
最も成長している企業の横顔は、先だつ二年間に際立っていた企業よりも魅力的に思える。2010年度の同様のランキングでは、循環型の経済部門(機械、開発、冶金)の企業が上位を占めていたが、これらの企業の収益増加は、単に2008年から2009年にかけての経済危機による破局的損失後の自然のリバウンドにすぎず、政府は、いわゆる戦略的な経済部門を支援することでそうしたリバウンドをさかんに促していた。
2011年度のランキングでも、その成長がビジネスの発展というよりも再興を反映する会社が上位を占めていた。しかも、その多くは、「立ち遅れた企業のリーダーたち」であり、ようやく、2010年ではなく2011年に遅ればせながら、全体的な危機後の再興に組み込まれていた。
当時のリーダー(リーダーといっても、その多くは非常に相対的だが)のリストには、これはという企業はなく、民間のハイテク企業がトップ10入りしなかったのも、寂しいかぎりだった。
IT企業の躍進とその背景
今回のランキングは、先行する二つのランキングとはかなり趣を異にし、上位10社のうち2社はIT部門で、9社のIT企業がトップ100のリストに名を連ねている(2011年のトップ100では1社少なかった)。2012年度、それらの企業の収益は、平均で43%、全体で39%増加したが、これは、ランキング入りしたすべての部門のうちで最高の業績だ。ちなみに、やはり9社が百傑入りしている石油ガス企業の収益の伸び率は、平均で15%、全体で12%。100社全体では、それぞれ27%と17%。
国内の大手IT企業の目を瞠る成長の背景として、まず第一に効率を重視する企業や銀行のITサービスに対する需要が大幅に伸びたことが挙げられる。
そうしたサービスは、経済が沈滞する状況においては、経費節減により多少なりとも正常な収益増加を維持するために必要だ。リバウンドによる“回復”はもはや過去のものであり、ちなみに、これは、ランキングのリーダーたちの成長の要因を知ることで導きうるもう一つの結論だ。
最も堅調なのは小売
商業は、比較的好調で、この部門は、ランクインしている企業の数が最も多い(2011年には16社だったのが32社に倍増)。全体および平均の収益増加率は、およそ28%。第一および第二四半期の公開会社の報告から判断すると、2013年には、商業部門は速やかな成長を維持する。その背景には、国民の商品およびサービスに対するかなり安定した需要があり、ロシア連邦統計庁の資料によれば、国民所得は、2013年の上半期、前年同期を12,2%上回っている。
「市民の」需要は、今年、住宅部門でも大きく、これについては、やはり公開会社(LSRグループ、PIKグループ)の四半期ごとの報告が物語っている。昨年、2012年のランキングに名を連ねた6社の住宅建設企業(上記2社を含む)は、平均33%の収益の伸びを示している。ちなみに、インフラ施設(橋梁からライフラインに至るまで)の建設に従事する3社のそれは、22%だ。
小売部門は、「芳しくない」ロシア経済において最も堅調であったし、今もそうあり続けている。今のところ、状況を変えうる動きは何も見られない。おそらく、2013年度には、国内の消費者の市場を相手に絶えずビジネスの効率に心を配る企業が、ランキングで首位を射止めるにちがいない。
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