極東の投資ブームの火を絶やすなかれ

成長は連邦の投資によるところが大きく、行政は域内総生産(GRP)の成長率を維持するために、代替源を探している =タス通信撮影

成長は連邦の投資によるところが大きく、行政は域内総生産(GRP)の成長率を維持するために、代替源を探している =タス通信撮影

アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議後初めてとなる国際会議「極東投資大会」が9月6~7日、ウラジオストク市で行われた。沿海地方の経済はここ数年で、他の地域の経済よりも勢い良く成長した。成長は連邦の投資によるところが大きく、行政は域内総生産(GRP)の成長率を維持するために、代替源を探している。

9月初めにウラジオで国際会議「極東投資大会」 

 極東投資大会では、日本側からの関心とカジノ特区が主なニュースに。総額10億ドル(約1000億円)以上の投資契約11件に署名が行われた。

 ウラジーミル・ミクルシェフスキー沿海地方知事は、大会の開幕に際して、この大会の目的を明確に示した。沿海地方はここ数年、ロシアの他の地域よりも勢 い良く成長している。GRPは5.1%(ロシアのGDPは3.4%)、加工業の成長率は13.4%(ロシアは4.1%)、最近1年半の工業全体では10%強 だ。成長の要因はAPECの準備への投資(ウラジオストク市のインフラ整備に約7000億ルーブル≒2兆1000億円)、ガス化学集積の「ガスプロム」と 「ロスネフチ」のプロジェクト、「ソレルス」による地元の自動車産業への投資。極東投資大会のセッションは、今後の投資に対する投資家の関心の有無を明らかにするものだった。

 

松山外務副大臣率いる日本の代表団も参加 

 政治的な観点から言えば、大会は成功だった。ロシアの参加者の他に、黒竜江省の陸昊(リク・コウ)省長率いる中国の経済界のみならず、松山政司外務副大臣率いる日本の代表団が参加。「極東バイカル地域開発基金」は、日本の国際協力銀行および黒竜江省政府との、2件の枠組み合意書に署名した。これ以外にも パーヴェル・グラチョフ理事は、ウラジオストク~ナホトカ間の車道建設計画、シンガポールのチャンギ国際空港との共同空港開発計画、その他インフラ整備計 画を同基金の優先計画としてあげた。

 ミクルシェフスキー知事も優先事項をあげた。交通・流通複合施設(沿海地方のGRPで交通の割合は現在の18%から2020年の30%まで拡大すると考えられている)、加工工業(カルーガ州の実績を参考にした工業団地プロジェクト5件の準備が進んでいる)、そして観光産業(5~7年で旅行者数を年間 1000~1200万人まで増やすというかなり大胆な計画を立てている)だ。

 

最大の目玉がカジノ、観光関連 

 今大会最大の契約が観光関連だった。マカオやフィリピンのカジノに投資を行っている香港の「新濠国際発展有限公司」と沿海地方は、沿海地方カジノ特区開発契約を結んだ。新濠国際発展の何猷龍(カ・ユウ・リョウ)主席によると、プロジェクトの初期で1億3000万ドル(約130億円)をカジノ特区の施設に投じるという。沿海地方は道路やエネルギー供給などのインフラに投資を行う。ミクルシェフスキー知事によると、カジノ特区の最初のホテルは来年開業し、プ ロジェクトの2期には5億7000万ドル(約570億円)ほどがかかるという。

 カンボジアで事業を展開する香港のカジノ会社「金界控股有限公司」も、沿海地方に投資を行おうとしている。沿海地方行政およびロシアの国営住宅ローン会 社「我々の家・沿海」と3者契約を結んだ。3億5000万ドル(約350億円)を沿海地方に投じる旨、記されている。曾立強社長は、ハイレベルなカジノ施設の創設に必要な条件が、沿海地方にはすべてそろっていると話した。「沿海地方の人々は客好き。客室1000室のホテル、リゾート、カジノを建設する計画 を立てている。2000人収容可能な施設になる」。

 

ドイツのメトロ・キャッシュ&キャリーも投資拡大の可能性を探る 

 行政はさらに、「メトロ・キャッシュ&キャリー」ロシア法人のペーター・ブーン最高責任者および極東バイカル地域開発基金のグラチョフ理事と、 投資可能性拡大合意に署名した。

「今年初めに交渉を始め、早くも具体的な決定にいたった。8月に沿海地方の可能性の評価を行い、その後建設開始に必要な投 資規模を試算する、予備的合意書に署名することを決めた。これから物流分野の専門家を送る用意がある。沿海地方の中小企業を支援するために、可能なことを すべて行う」とブーン最高責任者は述べた。

 ミクルシェフスキー知事と、ロシアの漁業グループ会社「アクヴァレスルスィ」のルスラン・コンドラトフ社長は、「ドライポート」建設プロジェクト提携契 約に署名を行った。プロジェクトの金額は1800万ドル(約18億円)と試算されている。投資を行うのはアクヴァレスルスィ。交通・物流複合施設は、アル チョム市鉄道「ウグロヴァヤ」駅周辺に建設される予定。この施設は鉄道輸送と海上輸送の拠点で、沿海地方の港を経由する輸出貨物の運搬効率を高めることが可能。また逆方向の西方へのシベリア鉄道輸送にも使用できる。


元記事(露語)

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