未来の職業100種

2020年以前に、コピーライター、講演家、文書館員、裁縫師、エレベーター係、機械工、郵便配達人の職業が市場から消えるとも予測されている =タス通信撮影

2020年以前に、コピーライター、講演家、文書館員、裁縫師、エレベーター係、機械工、郵便配達人の職業が市場から消えるとも予測されている =タス通信撮影

エレベーター係、郵便配達人、裁縫師の職業は今後数年で消え、都市農民やサイバー補綴(ほてつ)の専門家が代わりに現れる。このような内容の新職種100種と消滅する職種30種の図鑑を、革新的技術特区「スコルコボ」モスクワ経営学院が作成した。

 モスクワ経営学院は新年度から、大学や高校で図鑑を積極的に配布する予定。今後訪れる労働市場の変化を図で説明している。現在人気の職種の多くが10年後には必要とされなくなり、労働市場の構図は変化する。

 

予め専門家を養成 

 労働市場の発展でもっとも重要な問題の1つは、教育システムと労働市場の間の調整であると、モスクワ経営学院の教授で、図鑑の作者の1人であるパーヴェル・ルクシャ氏は考える。

 「雇用主はその時の需要を考えて、新しい専門家を探す。最初にある専門家の不足の問題にぶつかり、その後でようやく探し始める。つまり認識するまでに時間がかかってしまう。我々の課題は、新しい仕事を予測しながら、現在は存在していない専門家の需要を事前に告げ、一流大学にその専門家を育成してもらうこ と」。

 例えば、発展著しいバイオテクノロジー分野の市場の状況は、5~7年後に変わるという。現在は存在していない専門家への需要が発生するのだ。

 「これは研究者の妄想ではない」とルクシャ氏。予測の根拠になっているのは、投資計画とロシアの大手企業の戦略だ。さまざまな分野の一流の専門家と共同で結論を出したパターンがほとんどだという。

 

2千人の専門家が19分野で分析 

 図鑑は2020年を境として、新たな職種を生みだすような重要な変化と新しい技術を、主な19分野(医療やバイオテクノロジーから建設や子供用品まで)で分析。この研究には約2000人の専門家が参加した。

 「2020年以降」に記された職業が人気となるか否かは、ロシアと世界の技術的発展の成功の度合いによって変わるという(世界大戦、大変動、技術発展へ の意図的な妨害がない場合)。これらの職業には現在とは違う基準が必要となる。ゼロから築き上げられたものであって、教育技術の発展が勘案されていなけれ ばならない。世界とロシアにいかなる発展のシナリオがあっても、このような職業の合法化と登記簿への記載が産業、医療、科学を支え、発展させるという。

 

産業発展についての展望もないのに・・・ 

 ロシア経済学院と経済金融研究センターのイリーナ・デニソワ教授は、この図鑑に対して懐疑的な意見を述べた。

 「狭義の職業群に対する需要を予測しなけれ ばならないという話は、専門家や意志決定者の間でよく持ちあがる。そのためには追加的な統計の収集と予測モデルの構築に投資が欠かせない。今はロシアの産業発展について明るい見通しがあるわけではないし、確固たる職業の需要構造も必要になってくる」。

 

消える職業と業界 

 図鑑には消滅する職種30種も記されている。そのうちの一部は、自動化やロボット化の影響が要因になるという。また、分野ごと消えてしまうものもある。 パルプ製紙業界、出版業、文書館・図書館分野、郵便業務は、近い将来消えると予測されている。

 また2020年以前に、旅行代理店社員、コピーライター、講演家、文書館員、裁縫師、エレベーター係、機械工、郵便配達人の職業が市場から消えるとも予測されている。

 職業の消滅の主要な原因は自動化や機械化だが、これが雇用率を下げるわけではないとルクシャ氏は説明する。それまでにはなかった、微細な労働が要求される他の特殊な職業に、移行していくことになる。

 

関連分野への生態系アプローチ

 未来の働く人の競争優位性のひとつが、複数の学問領域の網羅だと研究者は考える。新たな製品を設計、導入し、その生産を計画し、マーケティングを行うこ とができるような、相互関連分野の専門家集団をつくる”生態系アプローチ”が、革新分野に必要となる。具体的な新しい分野の人材を確保する先行アプローチ は、新しい分野の発展には不可欠だが、まれなケースを除いて、そのような動きを取ろうとする分野は今のところない。

 それでもこの研究は非常に有用であるとデニソワ教授は考える。雇用者、教育システム、保護者、学生などの中期的目標になるからだ。ただし、図鑑の大部分があくまでも、未研究技術分野の5~10年後に対する期待であることを理解しなければならないという。

 

記事全文(露語)

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