LNGの価格交渉も楽になるか

 写真提供:Gazprom / Press Photo

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日本企業はロシアの有望なLNG生産プロジェクトすべてを研究するようになった。ガスの提案競争は資源基盤の確保だけでなく、価格交渉も可能にする。

より多く、より安く 

 ロシアから日本への年間LNG輸出量は現在、サハリン2(出資比率はガスプロム50%+1株、シェル27.5%−1株、三井物産12.5%、三菱商事 10%で、環太平洋地域のLNG契約国の内訳は日本63.9%、韓国16.17%、アメリカ19.94%)からのわずか650万トン(市場需要の約8%) だ。日本はその増量に関心を示している。

 ロシア企業はこぞって自社のLNGプロジェクトへの参加を日本企業に呼びかけている。どのプロジェクトの将来も保 証されているわけではないが、アジアの協力者が現れて生産への投資や需要が確保されれば、プロジェクトの実現可能性は高まる。日本はガスプロムとロスネフチの熱いLNG競争を眺めながら、先のことを良く考えて、どちらとも友好的な関係を築いている。

 

丸紅がサハリン1関連で工場建設視野に 

 4月中旬にロスネフチと極東のLNG事業分野における提携の覚書を交わした丸紅は、サハリン1(出資比率はエクソンモービル30%、ロスネフチ20%、 インドのONGC20%、日本のソデコ30%)プロジェクトに関連して、工場建設の将来性を研究し始めた。これはロシアのウラジーミル・プーチン大統領が サハリン1のガス資源を、サハリン2のすでに稼働している工場にまわすべきだと話し、事実上ロスネフチのプロジェクト実現を延期した5日後に起こった。

 それでも日本は競争するどちらのプロジェクトも支援している。「サハリンは日本にもっとも近い、新しいLNG供給基地だ。サハリンで新しいプロジェクト に参加しながら、活動を拡大したい」と、三井物産の関係者は4月に東京で行われたサハリン州のプレゼンテーションで述べた。サハリンからLNGを300万 トン輸入している東京電力も、同地域からの日本への輸入がよりコストが抑えられるとして、新しいプロジェクトに期待している。

 

民間LNGプロジェクトにも関心 

 潜在的な日本の輸入者は、ロシアの民間LNGプロジェクトにも関心を寄せている。東京で行われた東京ガス、東京電力、伊藤忠、三菱商事、三井物産の代表 との会談の後、ノバテクのレオニド・ミヘリソン取締役会長が述べたように、日本企業はヤマルLNG(出資比率ノバテク80%、トタル20%、ノバテクは出資比率を今後51%に下げる予定)プロジェクトへの参加にも関心を示している。これはフランスのテクニップと日本の日揮のコンソーシアムが手がけるLNG 工場、サベッタ港、氷海航行用LNG船の建造の話だ。アレクサンドル・ノバク・エネルギー相によると、ノバテクの潜在的なパートナーには東京ガス、東京電 力、丸紅、三菱商事、三井物産などが数えられているという。

 

売り手市場から買い手市場へ? 

 日本の関心はいかに安くガスを買うかということだ。現在の1000立法メートルあたりの平均価格は550ドルだが、ヨーロッパは365ドルで購入してい る。2011年3月の福島原発事故後、ガスの需要は急激に伸びたが、現在は値引きを要求している。ガスプロムにも同様の提案を行ったが、今のところその話 題を発展させる用意はないと同社関係者は話す。日本は海底パイプラインを経由したガス供給も提案しているが、同社はその経済的妥当性に懐疑的だ。

 日本はロシアだけでなく、主要なガス輸出国の国営企業および民間企業から一連の提案を引き出せば、値引きは可能になるかもしれないと、「ズベルバンク」 の分析部門「ズベルバンク・インベストメント・リサーチ」のワレリー・ネステロフ氏は話す。日本、韓国、中国では現在、価格形成方法論が見直され始めてい るという。この傾向は安いLNGが大量にアジア市場に流入するという予測と関連している。従来は原油価格に関連していたが、シェール・ガスを扱っているアメリカ企業が現物価格から離れつつあるのだ。今後はより価格の高いガスがアジア市場で売れなくなってくる可能性がある。潜在的な供給者が多いほど、選択肢 は広がるのだ。