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第一段階において、ヤールバンクは、オンラインサービスの枠内でカードや消費者向けクレジットといったベースとなる商品を顧客に提供し、後に、譲渡抵当を含むその他のオプションも加えられる。ヤールバンクは、ロシアの実業家ミハイル・スリペンチューク氏と日本のSBIホールディングスが半分ずつ出資している銀行で、まさに後者の銀行「子会社」としての経験がロシアの金融機関の戦略の要となった。しかし、住信SBIネット銀行が顧客との個別のコンタクトなしに活動しているとすれば、ロシアでの展開はそれとは若干異なるものとなる。
顧客と銀行は初回のみ直接コンタクト
ヤールバンクの第一副頭取で取締役会員のピョートル・パヴレンコ氏はこう述べる。「法律上、顧客個人のIDが必要となるため、顧客と銀行との最初のコンタクトは直接行われ、銀行の代表が指定された場所と時間に書類を届けることになります」。プロジェクトは、まずクレジット機関の二つのオフィスがあるモスクワで開始され、その後で、地方へ進出する予定だが、そこでは支店は置かない。
顧客とのやりとりは、遠隔的に、すなわち、インターネットおよび特定の地域における銀行の代表を通して行われる。パヴレンコ氏はこう指摘する。「オフィスの維持費がかからないので市場の平均より低い利率を顧客に提供できます」。預金もインターネットを通じて行うことができ、その収益性も他行に引けを取らないという。
日本で働いた経験も
最初、ファンディングは、個人および法人から集められた資金によって行われる。パヴレンコ氏はこう述べる。「その後、私たちは、日本の株主の参加のもとで国際資本市場に進出し、そこではドルで決済する予定です。譲渡抵当の開始までに、価格や期間が最適なファンディングを保障すべく、外資誘致のメカニズムを整備する必要があります」。同氏によれば、ヤールバンクは、中流以上の「よく稼ぐプロフェッショナル」の収入を得ている市民を対象としたサービスを念頭に置いている。
ピョートル・パヴレンコ氏は、これまでにドレスナー銀行やMDM銀行といった金融機関および、「トランステレコム」など他の分野の会社に勤務した経験があり、日本の株主は、パヴレンコ氏がモスクワ大学付属アジア・アフリカ諸国大学を卒業し、1993年から1997年にかけて日本で働いたことを評価した。同氏は、日本語に通じており、日出る国のバンキングが難なく理解できる。
テストケース 成功するか
ビンバンクのマーケティング責任者であるマリア・エリューチナさんは、オンラインサービスの主なメリットは、その迅速さ、利便性、アクセスの容易さにあるとみなし、こう語る。「オフィスの数を減らす傾向はヨーロッパにも見られますが、銀行にはまだまだ顧客の数に比べてはるかに多くの支店があります」。
また、スヴャジバンクの小売ビジネス促進局長であるアレクセイ・バハーエフ氏はこう述べる。「多くのロシア国民にとってオフィスでの専門家との直接のコンタクトや信頼関係の構築はオンラインサービスには代えられません。オフィスを放棄できるのはカードやインターネットショップでのエクスプレス・クレジットといった手軽な商品を提供するモノラインの銀行に限られます」。
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