「ロシアのビジネスを拡大する時」

Vladimir Rys/Bongarts/Getty Images撮影

Vladimir Rys/Bongarts/Getty Images撮影

ブリヂストンはロシアに工場を建設する計画を発表した。このような決定を行った理由や、ロシアの自動車タイヤ市場の全体的な展望などについて、ロシアの 現地法人ブリヂストン・タイヤ・マニュファクチャリングCIS(Bridgestone Tire Manufacturing C.I.S. LLC)の平石良昭社長に、ロシアNOWがインタビューを行った。

 

平石良昭氏、ブリヂストンCISの社長

 -ブリヂストンはロシアに工場を建設する計画を発表しました。日本の品質管理システムもここにうまく導入できそうですか。

 現在ロシアの消費者の方々は、「日本製」イコール高品質と捉えておられます。ですがローマは一日にして成らずです。50~60年前は「日本製」はかなり 質の悪い物を意味していました。日本のメーカーは品質指標の管理が、日本経済の競争力を高める要因の一つであることを理解しました。当社は20ヶ国にタイ ヤ会社48社と全世界に他の会社200社以上を保有しており、どの国でも非常に高い品質基準を適用しています。そのため、ロシアの工場について警戒感はあ りません。

 

 -ロシアの一部専門家は、ブリヂストンがロシア市場で自社のシェアを失い始めたことが、工場建設のきっかけになったと考えていますが。

 当社の方針は競合他社の方針とは少し異なります。これは日本的な方針で、いかに多くの製品を販売するかではなく、いかに販売するかということなのです。 当社の目標の一つは市場占有率を2倍に拡大することですが、直近の目標であれば市場全体の成長よりも大きな成長をすることです。

 

 -ウリヤノフスクの新工場ではどのようなタイヤを生産する予定ですか。

 消費者の皆様に幅広い選択肢を提供したいのです。したがってスパイクとスタッドレスの冬タイヤや、夏タイヤを生産します。

 

 -環境タイヤ「ECOPIA(エコピア)」も生産するのですか。

 可能性はあります。

 

 -ロシアの自動車メーカーと、新車装着タイヤの契約を結ぶお考えはありますか。ブリヂストンは三菱と共同でロシアの工場を建設しますが、三菱とはそのような契約は結ばれているのでしょうか。

 三菱とそのような契約はしておりません。当社はまず、「交換タイヤ」の二次市場を目指しています。ただ、だからといって、自動車メーカーとの共同ビジネスを拒むというわけではありません。

 

 -ロシアの自動車用タイヤの需要は、日本の需要とどう違いますか。

 ロシア政府が昨年実現した自動車のリサイクル・プログラム、また自動車メーカー市場の勢いのおかげで、ロシアの車社会は急速に変化しています。自動車は どんどん増加し、より高級になっています。それゆえに、より多くの消費者の方々がより注意深くタイヤを選ぶようになり、自分の良い自動車のために高くて質 の良いタイヤを選ぶように努めているのです。ロシアではそれはまず冬タイヤの話になります。日本では気候条件が異なるので、少し状況が変わります。降雪と 本物の冬は一部地域にしか存在しないため、消費者は冬タイヤではなく、夏タイヤの選定により注意を向けます。将来的にロシアの消費者の方々は、夏タイヤも 慎重に選ぶようになると考えています。実際には、消費者の行動に大きな違いはありません。

 

 -御社のウェブサイトにはドリフティングのページがありますね。それはなぜですか。

 これは私の個人的な趣味です(笑)。ドライバーとしてドリフティングをやっているわけではなく、美しいカーブ、タイヤの匂いなどで、これを見るのが好き なのです。ロシアに来る前にマレーシアに勤務しておりまして、F1コースで本物のドリフターとして走る機会がたくさんありました。ロシアではロシアン・ド リフト・シリーズ(Russian Drift Series)の代表の方々と出会い、3年前にこの大会の主要なスポンサーになって、大会の主要なチームの一つであるブリヂストン・ドリフト・チーム (Bridgstone Drift Team)を支援するようになりました。

 

 -平石さんご自身はロシアで何らかの自動車に乗って走りますか。

 時々冬に走ります。その方が簡単なので(笑)。

 

-ブリヂストンはロシアで何か特別なプログラムを実施しますか。

 安全運転の実践や、ロシアの道路でのタイヤ使用を支援するプログラムがいくつかあります。

 

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 -工場建設地としてなぜウリヤノフスク州が選ばれたのですか。

 地域パートナーを選ぶのに長い時間を費やしました。100ヶ所以上の候補地があったのです。地域の選定基準のリストがあり、例えば、発展した優れたインフ ラ、外資系企業のビジネス展開についての行政の経験などが定められていました。契約締結の最終段階では、地域行政が外資系企業に対してどれだけ真剣かつ オープンで、友好的であるか、また日本とロシアの考え方の違いなどを理解する用意があるかなどが重要となっていました。ウリヤノフスク州政府の代表は例え ば、このプロジェクトをビジネスだけでなく、文化交流という観点からも検討していました。

 

 -ロシア市場に参入することを希望している日本の実業家に、いかにここでビジネスを行うべきかについて、日本人として、いくつかの実践的アドバイスをお願いします。

 私自身は日本人ですが、ブリヂストンは世界的な会社です。本社は日本にありますが。個人的な観点からしか申し上げることができません。ロシアで事業を立 ちあげる可能性についての調査を10年以上前に始めましたが、ずっと否定的な結果が出ていました。多くの障害があり、また外国人に対して好意的な地方政府 も多くありませんでした。ほんのここ最近になって、状況が根本的に代わり、良い傾向が強くなってきました。また障壁のレベルは低くなりました。ここでは当 然のことながら、連邦政府と地方政府のどちらにも感謝を申し上げたいです。世界的にもそうですが、ここでも多くの場所で未だに負の傾向が残っており、問題 も多いです。ですがアドバイスをリクエストされたら、ロシアとCIS諸国を重点的に受け入れ、このような調査を行い、ビジネスを始める時が来たと言うで しょう。ところで20日前にロシアの大統領と日本の首相が会談し、投資について話し合いました。今は投資のプロセスを加速させる時でしょう。