ブリヂストンがヨコハマに続く

ブリヂストンは三菱商事とタイでも共同で工場を建設しているが、ロシアで自社の地位を固めるために、ロシアにおける実績やつながりを必要としたようだ。 =ロイター通信撮影

ブリヂストンは三菱商事とタイでも共同で工場を建設しているが、ロシアで自社の地位を固めるために、ロシアにおける実績やつながりを必要としたようだ。 =ロイター通信撮影

ブリヂストンは2016年までに、ロシアに工場を建設する。これにより、発展しているCIS市場でシェアを拡大することが可能になる。

 ブリヂストンは現在のところ、勢いあるロシアの自動車市場に追いつくことができないでいる。ロシアの昨年度の新車販売台数とタイヤ販売額は2桁の伸びを 記録したが、同社の同期のタイヤ販売本数は3%減少していた(ロシアのタイヤ・メーカー「コーディアント」のデータ)。ロシアのタイヤ市場では、ミシュラ ン、ヨコハマ、ダンロップと並んで販売本数で昨年5位につけている。

 ブリヂストンは4月中旬、乗用車用ラジアル・タイヤ生産工場をCISで初めて建設する計画を明らかにした。建設予定地はロシア西部ウリヤノフスク州のザ ヴォルジェ工業団地で、三菱商事が共同出資する。現地法人はブリヂストン・タイヤ・マニュファクチャリングCIS(Bridgestone Tire Manufacturing C.I.S. LLC)で、出資比率はブリヂストン90%、三菱商事10%、総投資額は約375億円になる。2016年に新工場から製品を初出荷し、冬用タイヤを重点的 に扱っていく予定。また2018年後半には1日1万2000本(年400万本)まで生産量を増やす見込み。この新社設立に伴い、三菱商事は子会社であるロ シアのタイヤ販売会社ブリヂストンCIS(Bridgestone C.I.S. LLC)にも出資し、比率20%を確保する。この子会社の資本金は約18億円になる。

 

 ロシアで実績のある三菱商事と提携 

 

ブリヂストンは三菱商事とタイでも共同で工場を建設しているが、ロシアで自社の地位を固めるために、ロシアにおける実績やつながりを必要としたようだ。 少なくともブリヂストンの広報はロシアNOWの取材に対し、ロシアとCISでビジネスを拡大するために三菱商事と提携したこと、また三菱自動車のロシアの ディーラーにタイヤを納品する計画は今のところないことなどを説明している。「当社はロシアとCISのタイヤ市場の需要が伸びると考えており、これが工場 建設の主な理由となった。工場ができればビジネス・プロセスを最適化することができ、より短い期間で市場に当社の製品を納入することができる」。

 

 ブリヂストンのほとんどの競合会社が、すでにロシアに生産拠点を設けている。ロシアのタイヤ市場の規模は昨年、6100万本(9.5%)まで拡大し、金 額では16%増となった。乗用車用タイヤ市場でトップになっているのは地元メーカーのニジネカムスクシナ(19%)で、コーディアント(13%)がこれに 続く。外国メーカーの中で1位を占めているのはノキアン・タイヤ(10%)で、ロシアの消費者に質の高い冬用タイヤのメーカーとして認められているため、 ブリヂストンの主な競合会社になってくる。

 

 ウリヤノフスク州を選んだわけ 

 「工場建設候補地はいくつかあった。インフラのレベル、流通ルートの最適化、地元政府との長期的な確固たる協力関係などの選定基準にもとづいて、ウリヤ ノフスク州を選んだ」と同社は説明する。

 このプロジェクトは税優遇措置と助成金を得ることができた。ロシアでは、法人税の一般の税率は20%で、そのうち2%、18%がそれぞれ連邦政府予算、地方政府予算に割り当てられる仕組みだが、最初の10年間は土地や輸送の税金が免除され、連邦予 算には利益の2%を支払うだけで済む。また、地域予算からの控除として、助成金で返還される。

 ロシアの自動車市場は昨年末から、成長の勢いが少し鈍り始めているため、この市場で地位を確保したい同社が現地に生産拠点を置くのはわかりやすい動きだ。リア、ボッシュ、フェデラル・モーグルなどの外国の自動車部品会社は、すでにロシアに参入している。ロシアで活動する外国企業は、技術的に簡単な部 品の製造に特化し、生産量もそれほど大きくない。例えば韓国の大円鋼業とロシアのソレルス・エラブルガの合弁企業は、年間10万個のシートを生産してい る。

 

 「簡単な部品を現地生産化するともうかる」 

 ロシアの投資分析会社インヴェストカフェのアナリスト、アンドレイ・シェンク氏はこう話す。「自動車部品の生産事業は、工業組み立ての新たな規則が支えている。すなわち組み立てを行う会社は最大60%を現地生産化して、複雑な部品の輸入で税優遇措置を受けるともうかるようになっている。タイヤの部門は現 地生産化が簡単な、このような事業に該当する」。

 ブリヂストンのタイヤの価格は、これまでかかっていた輸入関税分安くなるため、ロシア市場で15~17% ほどのシェアを目指すことができるとシェンク氏は考える。「工業生産の主な収益源は、大手自動車メーカーとの卸売契約だ。自動車メーカーは価格と品質の相 関関係を見るから、日本の会社は有益な契約を確保できる」。