うまい日本ウイスキーは販拡可能

山崎蒸溜所の貯蔵庫 写真提供:Dr-john/wikipedia.org

山崎蒸溜所の貯蔵庫 写真提供:Dr-john/wikipedia.org

ロシアでアルコール税が引き上げられたため、ウォッカの代わりとして、ウイスキーの大幅な販売拡大が見込める。日本のウイスキーは今のところ隙間商品となっているが、日系企業にもそのチャンスがある。

「日本は“師”を超えた」 

 有限責任会社「ピヴナヤ・コンパニヤ(ビール会社)」のアンドレイ・アルツニン社長は、ロシアNOWの記者の取材に対し、こう話した。「日本人は”師”を超えたと言われている。ウイスキーではスコットランド人を、ビールではドイツ人を」。また、日本ビールが主力商品になっている、ロシアのある会社の経営者はこう話す。「日本のウイスキーは絶品だ。手間暇かけて技術工程を発展させている」。

 日本のウイスキーは極東で十分に人気があるが、アルツニン社長によると、ロシア西部ではスーパーの高級品コーナーや日本食レストランといった、目立たない場所でしか販売されていないという。

 

日本ウイスキーではサントリー独走 

 ロシア最大の日本ウイスキー輸入元「ヴェリド21」によると、ロシアではここ数年、日本の強いアルコールの販売が伸びているという。さらに日本ウイスキーの販売伸び率は、スコットランドやアイルランドなどの競合国のウイスキーよりも高い。ただ正式な統計によると、伸び率拡大の大きな要因となっているのは認知度と関係がある。ヨーロッパやアメリカのウイスキーがソ連時代からロシアで有名だった一方で、サントリーが市場に参入したのは2006年のことだ。

 ロシア市場における日本ウイスキー部門では、サントリーが圧倒的なシェアを誇っており、2012年は93.25%だった。この数字は過去5年の平均より少し高く、2009年の99.77%という記録よりは少し低い。「ロシアの消費者は、日本製品はすべて質が高いと思っている。そのため、日本のウイスキーを喜んで試飲し、ファンになっていくのだ」とヴェリド21は説明する。

 

怪我の功名 

 ロシアでは今年初めから、アルコール税およびタバコ税が大幅に引き上げられた。度数9%以上のアルコールに対する税額は、2012年7月1日に定められた300ルーブルより100ルーブル高い、400ルーブルになった。アルコール税が上がり続けていることが、とてもおもしろい傾向を生みだしている。中流~上流階級の市民は、慣れ親しんだロシアの強いアルコールであるウォッカを飲むことをやめ、ウイスキーに興味を持つようになっているのだ。

 ウォッカの最低価格は2013年1月1日より、125ルーブルから170ルーブルに上がった。ロシアではつい最近まで、ウイスキーが比較的高価なブランドとして扱われ、マニア向けの飲み物となっていたが、イギリスやアメリカの安いウイスキーが出回るようになると、0.5リットルのウイスキーのボトル1本が370~450ルーブル(約1200~1400円)ほどで販売されるようになり、中流階級が好んで購入するウォッカとの価格差がほとんどなくなった。

 

可能性は大、あとはマーケティング次第 

 「日本の強いアルコールを飲む人は、味がぴったりあった消費者だ。ヨーロッパのアルコールとはやはり味が異なる。質が非常に高いため、真のファンを獲得した」とアルツニン社長。

 「ヴェリド21」は、アルコール税引き上げの影響は日本ウイスキーにそれほど負の影響を及ぼさないと考えている。これは隙間商品で、その味に慣れた消費者は固定客となるからだ。販売拡大の可能性については、完全に日本メーカーのマーケティング政策にかかっている。

 「サントリーのウイスキーは品ぞろえが豊富で、自分に合う味や価格のものを見つけることができるため、さまざまな層の消費者に人気がある。一般消費者にも、質の高さにこだわりのある消費者にもだ。ただ、可能性をうまく活かせるか否かは、メーカーの政策を中心に、多くの要因に依存している」とヴェリド21は話す。

 アルコール市場情報ポータル・サイト「アルコマーケット・インフォ(Аlcomarket.info)」(有限責任会社「インフォルマツィオンヌイ・ツェントル」)のデータによると、昨年日本から輸入されたアルコールは約300万リットルだった。その内訳はビール93%、シードル約5%、ベルモットとワイン約0.8%、残りがウイスキーと他のアルコール飲料だった。