ロシアの沿海地方、そばの畑 =Shutterstock撮影
ソバの生産規模はどれぐらいですか
松尾泰寛課長 沿海地方の複数の農家と契約し、200㌶弱の農地で、約200㌧を生産しました。昨年は実験的な位置づけでしたが、今年は面積を倍にします。5年先には3万㌶規模を狙っています。これは日本のソバ需要の2割強に相当します。
どんな経緯でしたか
山田康夫部長 食品商社の新糧さんから話をいただきました。日本で流通しているソバの大半は中国からの輸入品です。新糧さんは調達ルート多角化の一環でロシアでの生産を検討しておられ、金融機関の仲介で一緒に仕事をすることになりました」
山田康夫、トラストレード事業部長 |
ソバ栽培の経験は
松尾氏 未経験です。前年までに別件で菜種の試験栽培をやっていて、農家に人脈ができていました。また、ソバは丈夫で比較的育てやすい作物です。
昨年は作物自体は問題なく育ちましたが、残念ながら刈り入れ期が異常気象となり、雪が積もって、収穫がわずかしかできませんでした。しかし、育つことが確認できたことが大きな成果で、有望な事業と考えています。今年は刈り入れ後、乾燥させて日本に出荷する段階まで進めるでしょう。
未経験の事業でも積極的ですね
山田氏 私たちが重視するのは新奇性です。新しくて、なおかつ市場性が見込めるなら、これまでの経験にこだわらずに事業に進出します。ソバで言えば、我々は農業のプロではありませんが、専門家のいる新糧さんと一緒に取り組む。ロシアに人脈や販売ノウハウを持つ点が私たちの強みです。
農業以外も幅広く手がけていますね
松尾泰寛、トラストレード事業課長 |
山田氏 ロシア部門の売り上げシェアで大きいのは、中古車を中心とした車関連、化粧品類、タイヤなどです。当社が日本製品を扱う時には、パンフレット一つとっても、日本版の単純な翻訳ではなく、ロシア人の感性に響くような内容に作り直します。売り込み先の地域としては極東やシベリアを得意としていて、ウラジオストクには昨秋に駐在員事務所を設けました。
日本企業のロシアへの関心も、以前に比べて少しずつ増えている。相談だけでもお金になるのでは
山田氏 当社はコンサルタント会社と違って、相談だけで料金を取ることはありません。有望な案件を実際に一緒に手がけて、事業から収益を得るという方式です。緊張感が常にあり、やりがいがありますよ。世の中を驚かせるような、新しい案件を手がけたいと考えています。
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