「ロシアには日本人が好きなものがたくさんある」

=ヴィクトル・ワセニン撮影

=ヴィクトル・ワセニン撮影

フォーラムでの発言

朝比奈豊、毎日新聞社長

 朝比奈豊・毎日新聞社長

 私は、ロシア・日本フォーラム「ビジネス、技術、文化の接点」が、露日関係の発展に寄与すると確信しています。最近のプーチン大統領と森善朗元首相の会談は、二国間の友好的関係の証となりました。今、われわれは、こうした良好な関係がとくに重要だと感じています。経済協力にも大きな期待がもてます。

 このフォーラムに様々な分科会――技術、ビジネス、文化、スポーツ――が設けられたことも象徴的です。このフォーラムのような形の交流が、この4つの分野での関係発展の基礎となることでしょう。

 ロシアには日本人が好きなものがたくさんあり、とくにロシアの音楽、文学、料理、酒が好きです。私が大学生だったころ、近くに居酒屋があり、ウォッカを出していました。ここはいつも大変な人気スポットでした。

 現在、日本では、ロシアで仕事をしたいと望む人が増えています。場所としては、とくに資源が豊富なシベリアと極東です。ですから、日本の対露感情はとても良くなっています。

 

 

亀山 郁夫、東京外国語大学学長

亀山郁夫・東京外国語大学学長

 ほとんどの日本人は意識していないでしょうか――もしかすると、かえってその方がいいのかもしれませんが――露日関係は非常に重要なポイントにさしかかったと思います。

 ロシアに関心を抱く日本人はどんどん増えています。ロシアが好きじゃないという人は、アジアにはもういないのではないか。そんな印象を受けるほどです。状況は10年前に比べると一変しました。

 

 このフォーラムは、露日関係の、そういう新たなスタートを実感させてくれます。まだ、この種の会合が完全に定着したわけではありませんが、いずれにせよ、ここで論じられたテーマはどれも極めて重要です。
 ロシア人の“魂”と日本人の“魂”は、お互いに補い合えると思います。両者の間には何か共通するものがあるので、多様な分野での協力で、“共通の言葉”を見出すことができるでしょう。

 

 

アレクサンドル・パノフ、

元駐日特命全権ロシア大使 

アレクサンドル・パノフ・元駐日特命全権ロシア大使 

 我々両国民はよくお互いのことを知りません。こういうフォーラムには、国民の幅広い層が情報交換できるようにする使命があります。主催者のロシースカヤ・ガゼータ(ロシア新聞)と毎日新聞は権威のある一流のメディアですから、なおさらのことです。

 これまで一度ならず気付いたことですが、ロシアで日本について報道される事柄と言えば、地震と津波と相場が決まっており、日本でのロシア報道も似たり寄ったりの状況です。露日関係にどんな展望があり得るかといったことはほとんど報じられません。実は、両国関係にはプラスの面も少なからずあるのですが、一般の人の視野には入ってきません。

 このフォーラムで取り上げられた3つのテーマはいずれも重要です。もっとも、文化に関しては、新たな努力はとくに必要ないようです。露日双方で、大規模な文化フェスティバルが毎年開催されています。概して、文化交流の面で何か問題があるとは言えないでしょう。ロシア人は寿司が大好きで、生け花教室や柔道場もたくさんあります。日本人もロシア文学が好きです。

 ところが、こうした文化面が、全体の対日感情、対露感情にそのままつながっていないというパラドクスがあります。日本人にとってロシアは長い間、あまり好ましい国とはいえませんでした。ロシアにも否定的な対日感情を抱く人がある程度います。

 この点はよくよく考えてみなければなりません。文化交流だけでは、国のイメージを改善できないということです。

 ですから、こうしたフォーラムとメディアの努力は、より好ましいイメージをつくる助けになると思うのです。これはとても大事なことです。なぜなら、否定面にばかり目を奪われていては、前進することができないからです。もっとプラスの側面に目を向ける必要があります。もちろん、両国間の関係はすでに友好的なものとなっており、お互いへの興味、関心もありますが、まだまだもっと多くのことができるし、やらねばならないと思います。