ドリームワークス・パークがロシアにできる

アメリカの映画・アニメ製作会社「ドリームワークス・アニメーション(DreamWorks Animation)」が、自社初のテーマ・パークをロシアにつくろうとしている =Lori/Legion Media撮影

アメリカの映画・アニメ製作会社「ドリームワークス・アニメーション(DreamWorks Animation)」が、自社初のテーマ・パークをロシアにつくろうとしている =Lori/Legion Media撮影

アメリカの映画・アニメ製作会社「ドリームワークス・アニメーション(DreamWorks Animation)」が、自社初のテーマ・パークをロシアにつくろうとしている。ロシアに白羽の矢が立ったのは偶然ではない。ロシアのエンターテーメント市場は勢い良く発展しているため、世界的な大手企業が進出を考えているのだ。すでに「ユニバーサル・スタジオ(Universal Studios)」や「ロヴィオ・エンターテーメント(Rovio Entertainment)」も、同様のプロジェクトを発表している。

3都市にアニメ・パーク 

 ロシアの若き実業家で、3人の子供(第一子は6歳)がいるアリク・ムツォエフ氏は、この新しいテーマ・パークのプロジェクトについて、笑顔で説明した。ムツォエフ氏の家族は、ドリームワークス・アニメーションのロシアの提携先グループ会社「レギオヌィ(地域)」の共同所有者だ。

 レギオヌィはモスクワ、サンクトペテルブルク、エカテリンブルクの3市に、総面積約100万平方メートルのドリームワークス・アニメーションのテーマ・パークを建設しようとしている。プロジェクトの総費用は10億ドル(約930億円)で、うち30%が自社資金、70%が銀行融資になるという。サンクトペテルブルクとエカテリンブルクの建設予定地はすでに決まっており、モスクワの土地については、現在交渉中だ。

 

2015年にオープンの予定 

 プロジェクトの回収期間は10年、年間来場者数は1170万人(建設予定の3市の人口は合わせて2000万人)と試算されている。全アトラクションを使用できる入場券は、市場平均価格の50~80ドル(約4700~7500円)だ。

 どのようなアトラクションがつくられるかは、まだわかっていない。判明しているのは、アニメの「シュレック」、「マダガスカル」、「カンフー・パンダ」のキャラクターが使われるということだけだ。テーマ・パークのわきには、ショッピング・モール、レストラン、映画館、3つ星ホテル、1万1000台の駐車場も建設される。最初のテーマ・パークがオープンするのは2015年の予定。

 

活気づくエンターテーメント市場 

 昨年末と今年初めは、ロシアのエンターテーメント分野が急に活気づいた時期だ。ドリームワークス・アニメーションの前には、ロシアの異なる都市に「アングリー・バーズ(Angry Birds)」パークができるという話があった。ただこちらは1万平方メートル弱と、規模はとても小さくなるが。

 また、モスクワ市都市計画土地委員会は昨年12月、ハリウッドの映画会社であるユニバーサル・スタジオのモスクワ南部へのテーマ・パーク建設を許可した。こちらの1ヶ所の投資額は、ドリームワークス・アニメーションの3倍となる、30億ドル(約2800億ドル)だ。建設は近々始まる。完成すれば、世界で5番目、ヨーロッパで最初の、ユニバーサル・スタジオ・テーマ・パークとなる。

 

老朽化するソ連時代の公園 

 ロシアにはこのようなテーマ・パークがほとんどないのが現状だ。例えばモスクワには、子供と散歩できるような大きな公園がいくつもあるが、ソ連時代に建てられているため、設備は老朽化し、社会主義の香りが漂っている。

 他のハリウッドの会社も進出しようとしていることについて、「ドリームワークスのキャラクターはロシアでより人気がある」と、ムツォエフ氏は自信をのぞかせる。

 ドリームワークス・アニメーションの最高経営責任者、ジェフリー・カッツェンバーグ氏も同じ意見だ。「マダガスカル3」の昨年のロシアの興行収入は4800万ドル(約45億円)で、ロシアのアニメ映画配給史上、2番目に多かったという。トップはハリウッドの映画会社「20世紀フォックス」のアニメ「アイス・エイジ4」だった。

「ロシアでは、ドリームワークスのキャラクターは、ディズニーやユニバーサルのキャラクターより人気がある。興行成績の良かったアニメ映画10作品のうち、6作品が当社のものだ」とカッツェンバーグ氏はテーマ・パークのプレゼンテーションで話した。

 

10%の伸び率で成長 

 いくつもテーマ・パークができたら、競争が厳しくなりそうだが、どこにとっても将来は明るい。ロシアのエンターテーメント市場は、年10%の伸び率で成長している。イギリスの監査法人「プライスウォーターハウスクーパース(PwC)」によると、2011年には12%伸びて241億ドル(約2兆2500億円)に達し、世界急成長市場の上位10位以内に入ったという。そして同市場の60%が、先にあげられた、モスクワ、サンクトペテルブルク、エカテリンブルクの3市に集中しているのだ。PwCの専門家は、ロシアのエンターテーメント市場が2014年までにスペインを追い抜いて、ヨーロッパ、中東、アフリカ諸国の中で最大となり、2016年までには最大390億ドル(約3兆6400億円)に成長すると予測している。