写真提供:rosneft.ru
国営石油採掘会社「ロスネフチ」の2012年度純利益が、2011年比7.2%増の3420億ルーブル(約1兆円500億円)に達し、過去最高となったことを同社が伝えた。また、同社のイーゴリ・セチン社長がプーチン大統領と最近会見した際、同社の市場評価額は900億ドル(約8兆3000億円)で、公正価値はそれ以上の1200億ドル(約11兆円)になると述べた。セチン社長の希望がかなえば、1~2年後には「ガスプロム」(資産1150億ドル≒10兆6000億円)を追い抜くことになる。
ガス事業も
「ロスネフチ」はガス事業を、年間1000億立法メートルまで拡大する計画を立てている。同社は昨年、独立系ガス生産会社「イテラ」の株式51%を取得する契約を結んだ。これにより、「ロスネフチ」は21億6700万ドル(約2000億円)の収益を得たため、結果的に記録的な純利益となったとも考えられる。
「ロスネフチ」はまた、ガスの買い手を昨年から活発に探している。10月には国営電力会社「インテルRAO」とも大型契約を結んだ。「ロスネフチ」は2016年から25年間、最大8750億立法メートルのガスを納入する。同社はまた、現在「ガスプロム」しか輸出業務を実施できないという、独占液化天然ガス輸出権の撤廃を国が行うと考えている。
TNK-BPとのシナジー
昨年度世界最大のM&Aとなったのが、「ロスネフチ」によるイギリスの大手石油会社「BP」の株式と、ロシアのコンソーシアム「AAR」が保有していた合弁会社「TNK-BP」の株式の取得だった。どちらも今年上半期には完了する。
「ロスネフチ」は、「BP」が保有する「TNK-BP」の株式50%取得に171億ドル(約1兆6000億円)を支払い、「ロスネフチ」の株式12.84%を譲渡する。 「BP」は受領額のうち48億ドル(約4400億円)を、「ロスネフチ」の株式5.66%取得にあてる。結果として、「BP」の「ロスネフチ」への出資比率は、19.75%まで拡大する。「AAR」が保有する「TNK-BP」の株式50%は、280億ドル(約2兆6000億円)と評価されている。
セチン社長は「TNK-BP」買収によるシナジー効果を、30億ドルから50億ドル(約2800億円から4600億円)と試算しているが、資産合併は2014年以降になる。
仲介業者は不要
「ロスネフチ」は昨年、石油トレーダーとの仕事の原則を変え始めた。オランダの石油商社「ガンバー」が9月、「ロスネフチ」の石油・石油製品販売の競争入札において負けたことは、誰にとっても驚きだった。
「ガンバー」はそれまでずっと「ロスネフチ」の主なトレーダーとなっていたが、買い手の間でロシアの石油に対する需要が伸びたことから、「ロスネフチ」は経済的に、より魅力的な提案を選んだと見える。その結果、オランダ・スイスの石油商社「ヴィトル」、イギリス・スイスの商社「グレンコア」、イギリス・オランダの石油会社 「ロイヤル・ダッチ・シェル」が落札した。これらのトレーダーはまた、「TNK-BP」買収で融資を行うことに合意している。
「ロスネフチ」は2月、ポーランドの国営石油会社「PKNオルレン」、フランスの石油・ガス会社「トタル」、「ロイヤル・ダッチ・シェル」と、長期石油直接納入契約を結んだことも発表している。このような契約は、イタリアの半国有石油・ガス会社「エニ」とも結ばれる予定だ。直接契約によって、「ロスネフチ」はマージンを計算に入れた価格で、石油を販売することができるようになる。
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