特別経済区に海外の投資家を誘致

サンクトペテルブルク改新団地 =PhotoXpress撮影

サンクトペテルブルク改新団地 =PhotoXpress撮影

ロシア企業も外国企業も、特別経済区内の「在住者」とみなされると、税金控除や優遇関税、公益事業の即時利用権などにより、生産設備の設立費用を最大30%節約できる。

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 政府の指定する特別経済区(SEZ)は、国際企業を誘致するためには税金控除だけでは十分ではないとして、新たなサービスを提供し始めている。

 「もはや自前の設備投資は必要ではなく、SEZにしてもらえばよいのです」とオレグ・コスティン最高責任者は述べた。 投資家はスペースを賃貸するだけでよいのだ。

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経済特区をフル活用

 同氏によると、国有企業として国中で24箇所の専用地を管理するSEZは、ビジネスが軌道に乗らなかった場合に、投資家が建設コストを無駄にしてしまうリスクを取り除き、投資家は自分で建造物を管理する面倒を省くことができる。

 「投資家は、こうしたことは世界では標準的な処遇だと言うことがありますが、我々にとっては、大企業を誘致する好機です」と、コスティン氏は説明する。

 賃貸収入により、8年で建設費用は取り戻せるとコスティン氏は言う。 スタンダードな施設は、最初の賃借人が退去した後でも、次の企業に十分受け入れられる水準のものだ。

  SEZは、投資家が興味を示したトムスク、サンクトペテルブルグ、タタールスタンのアラブガ、およびモスクワ郊外のゼレノグラードの4つの区域で、既に建設された賃貸オプションを用意している。

 ロシア国内に24カ所ある特別経済区の居住者となるには、企業が「先端技術を応用する」、「輸入品に取って代わることのできる製品、あるいは輸出に適した製品を製造する潜在力を有する」などの要件を満たすことが必要だ。そして、経済発展省が管轄する審議会が最終的な決定を下す。

 2006年に最初の特別経済区が設立されて以来、総投資額は3,080億ルーブル(99億ドル)にも及び、272の企業を誘致することに成功した。

 そのほとんどはロシアの企業だが、中には日本のタイヤメーカーの横浜ゴム、フランスの産業用ガス生産会社のエア・リキード、デンマークの建材製造業者のロックウール、スイスの製薬会社のノバルティス、米国の柔軟性ディスプレイ開発会社のプラスティック・ロジックなどの多国籍企業も含まれる。

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 投資家がロシアでこれ以上の利点を見いせる場所はない、とコスティン氏は言い切る。 地方政府が同様の優遇税制をとる場合があるかもしれないが、SEZとは異なり、彼らには関税を免除する権限がなく、敷地に電気やガスを引いたり、その他のサービスを整備するといった連邦レベルの資金的余裕がない、と同氏は指摘する。 政府はこれまでに、経済特区の開発に450億ルーブルを費やしている。

 研究開発に特化する4つの区域では、政府は支払給与税の減税措置もとっている。 設立が完成した特別経済区にはすべて、各種政府機関の事務所も設置されており、投資家の問い合わせに迅速に対応できるようになっている。

 最低5年間継続する優遇税制は通常、土地、車両および法人の固定資産を対象に課税徴収される地方政府予算によって、そのすべての財源が賄われている。

 通常20%の法人利得税率は15.5%に下げられている。

 地方政府の知事は、法人利得税の地方政府分を4%減税し、法人固定資産税も減らすことができる。だが、これらの優遇措置は、投資額が相当規模である場合にのみ有効となり、その基準は地方政府によってまちまちである、と彼は指摘する。

 2つの研究開発SEZが所在するモスクワ地域では、投資家が5億ルーブル以上の投資を行った場合に、政府は法人所得税を優遇している。 また、不動産の評価が3億ルーブルを超えると、固定資産税の税率が下がるようになっている。

 産業区域の場合、投資家は最低でも1億2500万ルーブル、港湾区域では4億2000万ルーブル以上を投資する必要がある。

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ロシアのテクノパークと経済特区

 しかし、顧客やサプライヤーにより近い場所に拠点を置くことのほうが、経済特区に所在するよりも重要である、と投資家が判断した場合は、結局ロシア国内の別の場所でのビジネス設立を選択する可能性もある。

 関連法案が改正過程にあるため、来年は港湾や空港のSEZが増加する可能性が高い、とコスティン氏は語る。 現在は、これらの区域に登録所在地をもつビジネスは、サービスしか提供できないが、1月1日より有効となる法改正により、製造業設立も可能になる。

 

観光客も視野に入れる特別経済区 

 24あるうち13のSEZは、観光促進のためのものである。 その大多数はロシア南部および東部に位置している。

 その中でも最も多額を費やすプロジェクトの一つは、ピョートル・シューラ氏の創案によるものだ。同氏のRusresorts社は、極東地域の観光区域群の一環として、10億ドルのリゾートをバイカル湖近くに建設することを計画している。

 未開拓で絵のように美しい極東地域の高所得者層向けリゾートは、アジアからの観光客を誘致すると同時に、ベトナムやタイなど、より暖かい気候の目的地へ向かう際の立ち寄り場所として、ロシア西部からのロシア人客の誘致も目的としている、とコスティン氏は説明する。

 ロシア領カフカス地域への誘致を目的とする観光特別経済区もある。SEZは2つの国営銀行、スベルバンクとブネシュエコノム・バンクと提携し、同地で6つの特別経済区を開発、運営する「北カフカス・リゾート」社を設立した。