日露の若者の起業家魂

Shutterstock/Legion Media撮影
 ロシア、日本の同年代の人、東京に暮らす外国人の友だちと話をしていると、現代の若者の積極性と起業家精神はピークになっているのではないかと思えてくる。30歳以下の知り合いの3割強が自分の事業を所有している。強固、強大ではないが、独自のアイデアとコンセプトをもとにした、自分の事業だ。

 ロシアでこんな状況を目の当たりにした。同じ大学の出身で、中国研究を専門とする親しい友だちが、スーツケースのボディの生産を立ち上げた。自分たちでデザインして、中国で縫製するという方式で、事業は波に乗っていて、皆、私の街では有名人になっている。別の友だちは、サーモマグ、Tシャツ、その他の印刷製品のデザイン工房を華々しく開業した。友だち、同世代の人が、故郷ウラジオストクにたくさんのアイデアを持ち込み、具現化している。ピロシキ工房、市内初のトランポリン場、現代美術学校、「アンチカフェ」という飲食代の代わりに場所代(時間制)の請求方式で運営するカフェなど。

 日本の友だちにも同様の状況が見てとれる。東海大学に留学していた時に一緒に授業に出席した仲間の多くが、すでに正規の職につき、組織の中で仕事の経験を積み、次に自分の事業を開業している。不動産の賃貸・検索分野で有名なアメリカのブランドの代理店、ネイルサロン、果物・野菜の輸出を請け負う会社、IT企業と。

 

近代史と愉快な事業

 当然のことながら、両国の歴史を覗けば、さまざまな起業家がいる。日本では19世紀に株式会社が生まれるようになった。ロシアでは18世紀に「商人」が登場し、20世紀初頭まで半特権階級として活躍していた。商人とは、物々交換が行われていた人口集積地を回り、やがて定住していった実業家である。

 実業家が登場するイリフ&ペトロフの長編小説「十二の椅子」とその映画は、ソ連時代から現在にいたるまで、ロシア人に愛され続けている作品だ。2人の事業の「敏腕家」が金持ちになることを夢見て国中をさまよう物語は、国民的な人気を博した。主人公のオスタップ・ベンデルはその狡猾さと巧みさで、他の登場人物たちに不要なものを売りさばいていく。ロシアの観客や読者が潜在的におもしろいと感じるものを。

 

両国の起業の特徴

 ロシアと日本の若者の起業には、それぞれの独自性がある。

 ロシアの実業家は、他の国の実業家と同様、事業の失敗をしばしば経験するが、他の国の実業家よりも立ち直りが早いと思う。学校で一番の友人だった子の親には、大きな活版事業を閉鎖した経験がある。この教訓を生かして、一家は他の国に移住し、新たな分野の事業をゼロから始めた。私の親戚や友だちの中には実業家がとてもたくさんいる。「暗黒の1990年代」、ビジネスは文字通り「奪い合い」だったし、卑劣なパートナーにつぶされるケースも多く、そして為替レートは乱高下した。そんな環境の中、今でも事業を続けている。ロシア人だって、他の国の人と同様、事業が失敗すれば、強いストレスを感じる。だが、他の国よりも再チャレンジする人が多い。これが、若者を含めた、ロシアの起業家の特徴だと考えている。

 日本には、高いレベルのリスクマネージメントと質がある。それゆえに、リスクが何よりも脅威となり、事業の失敗からの立ち直りを困難にしている。他の興味深い傾向もある。日本では、特定の「バックグラウンド」のある人が起業する。具体的には、実業家の一家の出、独立した実業家の仲間に何らかの理由で囲まれた、外国で勉強したまたは暮らした経験があるなど。

 日本では人のつながりがとても重要で、まわりから認められること、信頼できるチームがあることが極めて重要だ。ロシア人はパートナーや支援なしで起業することが多く、また実業家や成功した著名人は、普通の家庭すなわち起業とは無縁の家庭の出身者であることが多い。例をあげるなら、世界的に知られるトップモデルのナタリア・ヴォディアノヴァ、「グーグル」創業者の一人、セルゲイ・ブリン、大富豪ミハイル・プロホロフなど。

 両国の若き起業家の友だちと話をして気づいたのは、起業家の人数と生活している場所の関係性だ。若き起業家の友だちは、首都ではなく、地方に暮らしている人が多い!モスクワでは、アイデアと企業が飽和状態にあり、フランチャイズも多い。家賃は若者には高すぎる。日本の地方ではすでに一定期間、民間企業の発展が見られ、入札情報サービスが発達し、「グローカル」プロジェクトが増えている。

 異なる歴史と文化を持つロシアと日本で、若い世代の類似した傾向がみられるというのは、驚きだと思う。もちろん、起業したいと話す若者すべてが実行に移すわけではない。多くの若者は夢を語るだけで、会社を辞めることを決断できない。でも両国の若者の間で顕著になっているアイデアや努力は、とても明るく、有望だって思う!