タチヤナ・ボロソジャルとマクシム・トラニコフ
ロイター通信ロイター通信撮影
オリンピックで2度優勝しているペアが、1年半ぶりに競技生活に戻ってきた。ネーベルホルン杯(ドイツ・オーベルストドルフ)の復活戦では難なく優勝。ただし、複数のエレメントの質があまり高くないなど、諸手を挙げて喜べる内容ではなかった。オリンピック・シーズンの演技を理想的にこなすことに重きが置かれているにすぎないため、今シーズンはあまり複雑なプログラムを期待できないかもしれない。2016年の世界選手権で金メダルを取るのにこれで十分なのだろうか、という疑問が残る。現在の世界選手権のチャンピオンであるカナダのメーガン・デュアメルとエリック・ラドフォード組はきれいに滑りきれれば、2人に勝つかもしれない。少なくとも一次評価では。ボロソジャル・トラニコフ組には、カナダのペアが自信を持って行っているパラレル・トリプルルッツや4回転サルコウがない。これらは非常にポイントの高いエレメントだ。また、2015年の世界選手権の銀メダリストである隋文静・韓聰組、別の中国のペア彭程・張昊組のような、4回転ツイスト・リフトもない。したがって、二次評価に期待するしかない。言い換えるならば、ジャッジの“優しさ”への期待である。
予測:ヨーロッパ選手権2016で金メダル、世界選手権2016で銀メダル。
ロイター通信撮影
名目上、二番手のロシアのペアであるストルボワ・クリモフ組には、今シーズン、一番手になれる可能性が十分にある。そのために、2人は新たな難度の高いエレメントの習得に集中し、2015年世界選手権を見送った。それは正しかったと言えるかもしれない。ポイントの高い「長い」コンビネーション「3+3+2」が新たに加わり、ダブルアクセルはスムーズにトリプルアクセルに変わった。このままの調子で困難さと信頼性の組み合わせが達成できれば、世界の金を来春にも狙える可能性がある。
予測:ヨーロッパ選手権2016で銀メダル、世界選手権2016で銅メダル。
Vladimir Pesnya/ロシア通信
体の成長をうまく乗り越えた、現在の世界チャンピオンで欧州チャンピオンであるトゥクタムィシェワは、今シーズンは非常に複雑かつおもしろい演技でポイントを獲得し続けるだろう。トゥクタムィシェワがジャンプ好きなのはかなり前から知られている。今の女子シングルの世代にとって最も困難なトリプルアクセルも例外ではないことは、つい最近まで信じられていなかった。トリプル・アクセルを習得し、世界選手権で成功させたものの、本人とアレクセイ・ミシン・コーチはそこにとどまらなかった。フリー・プログラムにトリプル・アクセルを2回組み込む計画を立てている(2回目はコンビネーション)。このような内容をこなせる人は、今日ほぼいない。そうなると、金メダルを目指すライバルたちは、トゥクタムィシェワの自滅に期待するしかなくなる。だが、昨シーズン、そのような”贈り物”をすることはなかった。
予測:ヨーロッパ選手権2016と世界選手権2016で金メダル。
ロイター通信
長く待ち望まれていたオリンピック・チャンピオンのソトニコワの復活だが、最近の代表の試験滑走を見る限り、競技の感覚が戻っていないようである。また、ジャンプの信頼性も失っている。そのため、今シーズンは本人にとって簡単にはいかないだろう。ヨーロッパ選手権2016の代表メンバーに必ずしも入れるとは限らない。今年のロシアの女子選手間の競争はかなり激しい。過去に活躍したことだけで代表入りできるわけでもない。
予測:ヨーロッパ選手権2016で銅メダル。
ロイター通信
ソロビヨフの大きなケガの後、ペアの復活が待ち望まれていた。最近の世界選手権では、上位6位に一組もロシア代表が入っていなかった。ソロビヨフによると、長期の治療にもかかわらず、ケガの影響は完全になくならなかったという。それでも2人は臨戦態勢に入っている。ヨーロッパ選手権と世界選手権でどのような結果が期待できるのかは、10月29日の「スケートカナダ」で大方はっきりするだろう。2人と競うのは、世界選手権で銀メダルと銅メダルを獲得している、カナダのケイトリン・ウィーバーとアンドリュー・ポジェだ。
予測:ヨーロッパ選手権2016で銀メダル。
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