アレクサンドル・ヴィリフ撮影/ロシア通信
信念とカリスマ
ソチ五輪フィギュアスケート団体戦の金メダリスト、ユリヤ・リプニツカヤのポスト・オリンピック・シーズンは、不本意な形で終わった。バルセロナのISUグランプリファイナルで5位、ソチのロシア選手権で9位、それによってヨーロッパ選手権への出場枠に入ることができなかった。現在はロシアの他の選手が話題にのぼる。それは世界選手権とヨーロッパ選手権の金メダリスト、エリザヴェータ・トゥクタムィシェワであり、ロシア選手権の金メダリスト、エレーナ・ラジオノワであり、ソチ五輪個人戦の金メダリスト、アデリナ・ソトニコワである。
それでもリプニツカヤは、ドイツのスポーツ用品大手「アディダス」に選ばれた。
「アディダス」ロシア法人のニコライ・ペトロシャン広報担当は、ロシアNOWの取材に対し、こう説明する。「当社にとって性格はとても重要な部分。リプニツカヤに提携を提案したのは、困難を乗り越えようとする姿を見たから。がんばり屋でスポーツに情熱を注いでいるところに感銘を受けた。結果を求め続ける意志の強い真のアスリート。リプニツカヤは自分の才能とカリスマ性で人々を鼓舞すると確信している。たくさんの若者が完璧を追及する姿勢を学びたがっている。当社のリプニツカヤのCMは大成功だった(動画サイト『ユーチューブ』でのCMの再生回数は300万回以上)。つまり、人々がリプニツカヤを身近に感じているということ」
リプニツカヤ自身は、このような契約は初めてであり、これからのシーズン、アディダスとともに成功していくことを望む、と話している。
アディダスのCMといえば、大物が出演することで知られている。バスケットボールのデリック・ローズやサッカーのリオネル・メッシは、とりわけ存在感がある。
エリート・クラブ
AP通信
リプニツカヤとアデリナ・ソトニコワの競争は、何も氷上だけとは限らない。ソトニコワは五輪で優勝した直後、アディダスの主な競合企業であるアメリカのスポーツ用品大手「ナイキ」と契約を結んだ。ソトニコワのアリ・ザカリャン・マネージャーによると、この契約はスポーツ業界におけるソトニコワの立ち位置を示しているのだという。「アメリカ人は本物のスターとしか契約しない。もう別次元」
ナイキと契約を結んでいる世界のスターは、世界有数の収入の多さを誇る選手である。「フォーブス」誌の2014年のスポーツ長者番付けによると、テニスのロジャー・フェデラー(年間5600万ドル≒67億2000万円)、バスケットボールのコービー・ブライアント(年間6200万ドル≒74億4000万円)とレブロン・ジェームズ(年間7200万ドル≒86億4000万円)、サッカーのクリスティアーノ・ロナウド(年間8000万ドル≒96億円)となっている。
マリア・シャラポワは女子アスリートの世界第1位。「フォーブス」誌によると、シャラポワの2013年の年収は2900万ドル(約34億8000万円)だった。ナイキとの契約で年間850万ドル(約10億2000万円)ほどを受け取っている。ちなみにシャラポワが2013年6月から2014年7月までに受け取った賞金は230万ドル(約2億7600万円)。
シャラポワと逆なのはアイスホッケーのアレクサンドル・オヴェチキン。ワシントン・キャピタルズと2008年1月、1億2500万ドル(約150億円)で13年契約を締結。1億ドル以上の契約はNHL史上初だった。一方で、オヴェチキンの広告契約は控えめで、年間550万ドル(約6億6000万円)。うちナイキから受け取っているのは300万ドル(約3億6000万円)ほど。
東洋重視
棒高跳び5メートル台の世界記録保持者で、五輪で金メダルを二度獲得しているエレーナ・イシンバエワは、ナイキ、アディダスとの契約にはいたらなかったが、アジアにスポンサーがいる。中国のスポーツ用品メーカー「李寧」と2009年、陸上選手としては過去最高額となる150万ドル(約1億8000万円)の5年契約を結んだ。
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