ロシア通信撮影
- 世界国別対抗戦の印象はいかがですか?この大会からどんな教訓が導かれますか?
- 世界国別対抗戦は、私が最初から最後まで観たシーズンで唯一の競技会でしたが、今では、近い将来にロシアが世界のフィギュアスケート界においてどのような位置を占めるかがよくイメージできます。
私からいちばん遠い存在であるアイスダンスから始めましょう。現在、世界には、ひじょうにハイレベルのペアが二つか三つあり、あとのペアはみんな、上海での世界選手権に出場したロシアの主要なペアと力が拮抗しています。それから、ヴィクトリア・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ組と。彼ら、これらのライバルたちは、ロシア勢にとって「食べられる」存在です。すべては、創作的アプローチにのみかかってくるわけではありません。フランスのパパダキス&シズロン組は、さらに技術的にひじょうに面白くて中身が濃くてもしかするとスケートと氷の相互関係という観点から斬新な滑走を見せてくれました。この点も、考慮する必要がありますね。
ペアについて申しますと、私は、カナダのすばらしいペアであるデュハメル&ラドフォード組の演技も、中国のペア(隋&韓組 ― 編集部)の演技も、注意深く研究しました。彼らは、たしかに、技術面でひじょうに高い水準に達しています。カナダのペアは、四回転スローやトリプルルッツを跳び、中国のペアは、四回転ツイストリフトをこなします。それらは、かなりのウェイトがあります。けれども、プログラムの構成によって特徴づけられる技量のほう(あるいは、旧採点法の芸術点、第二評価)を見ると、川口&スミルノフ組のほうが格上のように思われます。彼らおよび中国のベテラン龐&佟組のほうが、動きの洗練度はずっと高いですね。ロシアのオリンピックチャンピオンであるヴォロソジャル&トラニコフ組やストルボワ&クリモフ組については、言うまでもありません。これらのペアの芸術性や芸術観は、外国のライバルたちよりはるかに上でしょう。
ストックホルムのフィギュアスケート欧州選手権の女子でロシア勢が表彰台を独占
男子シングルについて申しますと、現在、コフトゥンとヴォロノフが叩かれていますが、二人ともなかなか頑張っています。ロシアのフィギュアスケートのために彼らを大切にすることが必要です。けれども、それと並行して、15~16歳のジュニアばかりでなく12~14歳の少年も有望な選手の輪に加えるべきでしょう。なぜなら、三年後にどうなるか、男子シングルの状況や優先の対象がどう変わるか、不明だからです。それは、私たちの連盟サイドからのひじょうに興味深い戦術となりましょう。コフトゥンとヴォロノフの東京での演技に関して言えば、二人ともフリーでは見事な滑りを見せました。
女子シングルについては、コメントするのが難しいですね。というのも、私は、直接それにかかわっているからです。私の評価は、冷静で距離を置いたものにはなりません。けれども、今年がリーザ・トゥクタミシェワにとってすばらしい年であることを指摘しないわけにはいきません。彼女は、目下、スポーツ界全体の注目の的となっています。トリプルアクセルに関連しても。それは、練習で成功したときから、一大センセーションを巻き起こしました。それから、彼女は、それをショートプログラムで跳びました。さらに、フリースケーティングに組み込みました。しかし、おそらく、主な成果は、14回の出走でしょう。そのうち、12回で勝利を収めています。これも、トリプルアクセルに匹敵する大記録です。
私は、今日の成功は将来の成功の保証ではないことをよく知っています。けれども、少なくとも、リーザの現在の状態や可能性は、彼女がまだフィギュアスケートにおける自分の実力を出し切っていないことを物語っています。
ISUフィギュアスケート世界選手権2015、エレーナ・イリヌィフとルスラン・ジガンシン
それから、ラジオノワとポゴリラヤも褒めるべきでしょう。そして、すばらしいジュニアの選手であるメドヴェジェワやサハノヴィチやプロクロワも。きっと、他の小さなスターたちも、現れることでしょう。リーザ・トゥクタミシェワの個人的な指導者という観点からではなく、自国のチームのために半生を捧げてきたコーチという観点からすると、リーザのアクセルは、この世界では何でもできるということを女子選手たちに気づかせる出来事です。というのも、私は、最近このジャンプを実際に練習している国内の女子選手を一人も知らないからです。これからはトリプルアクセルに挑戦する女子の数は増える、と思います。そうした女子たちが現れれば、遅かれ早かれトリプルアクセルも現れましょう。リーザ以外にも。
そして、もちろん、私たちは、日本人も韓国人もアメリカ人もカナダ人もそうした道を歩む可能性のあることを認識すべきです。トリプルアクセルを跳べる女子選手は、どこから現れるかわかりません。それは、なかなか打ち破れない切り札です。ですから、私たちは、今からライバルたちの機先を制さねばなりません。
- 上海と東京で男子シングルの選手たちが振るわなかったのち、エフゲニー・プルシェンコの現役続行を望む声が再びあちこちで聞こえていますが…。
- 私の今の考えは…。私は、すべてのジャーナリストに、すべてのメディアに、ジェーニャ(エフゲニーの愛称)のことであまり騒ぎ立てないようにお願します。私たちとしては、できるだけたくさん有益な仕事をして結果を出すように努めます。
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