リプニツカヤに休息を

画像:アレクセイ・ヨルスチ

画像:アレクセイ・ヨルスチ

一報に世間は大きく反応した。ある通信社が、フィギュアスケート女子シングルのユリヤ・リプニツカヤに近い消息筋の話として、恩人のエテリ・トゥトベリゼ・コーチからリプニツカヤが去ると伝えたのだ。

ジャンプを妨げる“成長” 

 何が起こったというのか。これは普通のことだ。リプニツカヤは世界を席巻した五輪の赤いワンピースの小さな少女から、美しい乙女へと成長している。それは素晴らしいことだ。春に日本で行われた世界選手権で銀メダル獲得の要因ともなった高いジャンプを飛ぶのに、成長は邪魔しているが。

 今はジャンプもフリー・プログラムもうまくいっていない。これはリプニツカヤ本人が悪いわけでもないし、コーチが悪いわけでもない。成長の困難な過程は誰もが経るもの。わずか15歳255日で金メダルを手にしたアメリカ人選手のタラ・リピンスキーが引退した時、多くの人が驚いた。プロとしての活動も長くはなかった。19歳でスケート靴を脱ぎ、女優になった。

 リプニツカヤも今苦労している。金メダルの滑りを皆に期待される中で、どうやってその力を得るのか。才能ある選手のエリザヴェータ・トゥクタムィシェワにも同じことが起きていた。1年半、苦しみながら成長していた。賢者のアレクセイ・ミシン・コーチは、我慢強く見つめていた。トゥクタムィシェワは希望を失うことなく、練習を続け、コーチを変えることもなかった。五輪には出場できなかったものの、昨年末にはグランプリファイナルで優勝。その後のロシア選手権では15歳のエレーナ・ラジオノワ(6日に16歳になった)に優勝を譲った。若い世代が台頭し、女子シングルは若く、軽やかな選手の種目になりつつある。

 

今何よりも必要なのは静穏と休息 

 リプニツカヤはロシア選手権で9位に終わった。滑りは本人も、トゥトベリゼ・コーチも、納得できるものではなかった。リプニツカヤに常に随行し、聖なるロッカールームにも入る母のダナにとっても、同じであった。”フィギュア”のママたちはすごい。娘と世界中をまわっているダナのように、多くの好影響を与えるママもいれば、過保護すぎるママもいる。子どもたちは必ず成長する。そして親は状況に応じて去っていく。というよりもむしろ、引き下がることが義務となる。

 続報を急ぐことはない。リプニツカヤは9位に終わったことで、ロシア代表に入れなかったのは明らかだ。今何よりも必要なのは静穏と休息である。失敗から立ち直らなければならない。なだめることのできる人と会い、話をして落ち着く。急な路線転換をする必要はない。五輪の金メダリストを取り巻く状況をスキャンダルに発展させてはならない。2月初めにはロシア大会で新たなスタートが待っているのだから。シーズンはまだ続く。

 

ニコライ・ドルゴポロフ、スポーツ・ジャーナリスト、ロシア・フィギュアスケート連盟執行委員会会員

 

記事全文(露語)