ロシア杯でペア表彰台を独占

クセニヤ・ストルボワ&フョードル・クリモフ組=アレクセイ・フィリポフ撮影/ロシア通信

クセニヤ・ストルボワ&フョードル・クリモフ組=アレクセイ・フィリポフ撮影/ロシア通信

モスクワで行われたフィギュアスケート・グランプリシリーズ・ロシア大会のペアでは、無敵のヴォロソジャル&トラニコフ組が欠場したにもかかわらず、ロシア勢が表彰台を独占した。選手層の厚さやコーチ陣の充実ぶりからすると、ペアに強いロシアの復活は十分に期待できそうだ。

 オリンピックで二度優勝しているタチヤナ・ヴォロソジャル&マクシム・トラニコフ組は、トラニコフが負傷した肩の手術を受けることになったため、ポスト五輪シーズンの大会をすべて欠場する可能性がある。ニーナ・モーゼル・コーチは、11月15、16の両日にモスクワで行われたグランプリシリーズ・ロシア大会の際、マクシムはドイツで急遽手術を受けた、と語った。メインのスターが欠場するなかで大会のヘッドライナーとなったのは、やはりモーゼル・コーチの教え子であるクセニヤ・ストルボワ&フョードル・クリモフ組で、同ペアは、211,97という高得点で優勝した。

 

五輪への道が開けたストルボワ&クリモフ組 

 ストルボワ&クリモフ組は、ロシアでばかりでなく世界でもナンバー2のペアであり、五輪ではロシアのヴォロソジャール&トラニコフ組に、世界選手権ではドイツのアリオナ・サフチェンコ&ロビン・ゾルコーヴィ組に敗れている。しかし、ドイツのペアは、コンビを解消し(アリオナは、新しいパートナーであるフランスのブリュノ・マッソと組んでいる)、ロシアのペアは、メディカル・タイムアウトを取った。ストルボワ&クリモフ組にとって、これは、ナンバー1の座をつかむ絶好のチャンスであるとともに、五輪の成績を上回って期待に応えねばというプレッシャーでもある。

 モーゼルのグループで若手のペアを育てているロビン・ゾルコーヴィは、彼らはフィジカルの面は問題ないもののメンタルな面は未知数である点を指摘し、こう語る。「彼らは、2009年からペアを組んでいて、つねに可もなく不可もなくといった感じでしたが、ニーナ・モーゼル・コーチのもとへ移ってからぐんと成長し、オリンピックでは私とアリオナのペアを凌いで一気に花開きました。まるで練習みたいに軽快で自信に満ちて滑っていましたけれども…。とはいえ、彼らは、あの成功が偶然ではなかったことを証明しなくてはなりません」

 ニーナ・モーゼル・コーチも、このペアの演技に満足していた。ショートプログラムでは、リフトでミスが出たが、フリースケーティングでは、ミュージカル「ノートルダム・ド・パリ」の曲をバックに抒情あふれる巧みな滑りを見せて、モーゼル・コーチにこう言わしめた。「今や、ペアは、エレメントを追い求める作業であり、それらを何らかの形象に組み立てる試みであり、誰にでもそれができるわけではありませんが、タチヤナとマクシムにはそれができました。クセニヤとフョードルの滑りも、芸術の域に近づいています」

 

試行錯誤の段階にあるタラソワ&モロゾフ組 

 モスクワでの大会では、ロシア勢が表彰台を独占し、エヴゲニヤ・タラソワ&ウラジーミル・モロゾフ組(173,78)とクリスチナ・アスタホワ&アレクセイ・ロゴノフ組(164,86)もメダルを手にした。

 ジュニアから昇格したばかりのタラソワ&モロゾフ組も、ロビン・ゾルコーヴィの薫陶を受けているペアであり、彼らは、シーズンの初めから好調ぶりを発揮し、グランプリシリーズ・カナダ大会では銅メダルを獲得した。しかし、フリースケーティングで、ミスが出て、モロゾフは、パラレルジャンプを二度失敗し、タラソワは、スロージャンプの際に転倒した。

 国際スケート連盟(ISU)技術委員会のアレクサンドル・ラケルニク委員長(シングルとペアを担当)は、懸念を表し、こう述べる。「あんなスケーティングをしていたら、タラソワ&モロゾフ組は、シニアでは通用しませんね。ショートプログラムは上出来だったのに、フリースケーティングではミスが続出しました。その原因を明らかにしなくては…」

 ニーナ・モーゼル・コーチも、残念そうにこう語る。「タラソワとモロゾフは、とても緊張していて、午前中のトレーニングから蒼ざめていました。晩まで何とか持ってほしいと思いましたが、だめでした。これからですよ、誰でも試行錯誤を繰り返していくのですから…」

 

強豪ぞろいの大阪での大会 

 モスクワでの大会は、ロシア勢の活躍が目立ったが、役者がそろってはいたわけではない。この点では、ボルドーでの2014年のエリック・ボンパール杯(グランプリシリーズ・フランス大会)も同様であり、ストルボワ&クリモフ組が、やはり優勝候補の筆頭として出場した。

 それに比べて、グランプリシリーズの最終戦となる大阪での大会は、見応えがありそうだ。ロシアからは、膝の手術を受けてリンクに戻ったアレクサンドル・スミルノフと川口悠子のペアが出場する。ロビン・ゾルコーヴィも、彼らが初戦のアメリカ大会で209,16という得点をマークして優勝するとは思ってもみなかったという。ほかに、五輪後の世界選手権で銅メダルを獲得したカナダのメーガン・ドュアメル&エリック・ラドフォード組も出場する。

 

明るい前途

 新たなシーズンの結果を考慮すると、フィギュアスケート・ペアにおけるロシアの首位は安泰と思われる。選手の層がひじょうに厚く、新たなオリンピック・サイクルのなかで切磋琢磨して成長しうる有望な若手も多く、オリンピック金メダリストでロシア・フィギュアスケート連盟会長のアレクサンドル・ゴルシコフ氏は、こう語る。「クセニヤ・ストルボワ&フョードル・クリモフ組は、新しいシーズンや最高位を目指す新たな戦いへの備えがしっかりできていることを示しました。新しいプログラムは、情感あふれるものとなりましたが、大事なのは、すべての要素の質が高いことです。ロシアの三つのペアが表彰台を独占した(グランプリシリーズ・ロシア大会で ― 編集部)のはうれしい限りで、ロシア勢にはますます活躍してほしいものですね」