ソチ個人戦金メダリストのソトニコワは、出場の意向を示していたものの、参加は見送った=タス通信撮影
オリンピック直後の世界選手権はあまり必要性がないことから、バイアスロンなどの多くの競技で行われない。オリンピック・シーズンの上位選手はオリンピックで決まるため、資金的にも人的にも多くの資源を必要とする同レベルの大会は開催されないのが普通だ。
フィギュアスケートでは伝統にしたがい、世界選手権が必ず開催されるが、参加を見送るオリンピック・メダリストも多い。すべての大会への出場を欠かさない選手もいれば、熾烈な競争から離れて休みたいという選手や、新たなスタートまでの回復が間に合わないという選手もいる。
ロシア・フィギュアスケート連盟のアレクサンドル・ゴルシコフ会長はこう話す。「選手は最高の結果をだそうと、オリンピックに最大限に集中し、全力を注ぐ。このような力と感情の湧きあがりを1ヶ月後の世界選手権でくりかえすのは不可能。マスメディアや社会の注目も極めて高くなるから、練習に集中するのも難しい」
リプニツカヤはロシアのスターとして
ソチ個人戦金メダリストのソトニコワは、出場の意向を示していたものの、参加は見送った。ゴルシコフ会長はこう説明する。「アデリナには回復の余地、また難題をしっかりと実行できるような、来シーズンに向けた準備開始の余地を与えることにした」。
ソチ団体戦金メダリストで、2014年ヨーロッパ選手権金メダリストのユリヤ・リプニツカヤは、今回の世界フィギュアに出場する。
大望を持った15歳のリプニツカヤは、世界だけでなく、自分自身に対して、オリンピック個人戦でのジャンプ失敗が単なる偶然だったことを示そうとしているに違いない。リプニツカヤはソチで世界中から注目された。赤い衣装を着て、「シンドラーのリスト」のサウンドトラックに合わせて氷上で見事な演技をしたことに対し、アメリカのスティーヴン・スピルバーグ監督自身が感謝の手紙を書いたほど。
世界フィギュアに出場するもう一人のロシアの選手は、今シーズンのグランプリ・シリーズで優勝したアンナ・ポゴリラヤ。12月に行われた福岡のグランプリファイナルでは、古傷の悪化により、最大限の力を出し切れなかった。世界がオリンピックにわいている間、体調を整えていたポゴリラヤは、1週間後の大きな大会で、ロシア代表としての滑りを見せる。
ボロソジャル・トラニコフ組は小休止、男子シングルはコフトゥン
ソチ団体戦・個人戦の金メダリスト、ボロソジャル・トラニコフ組も、世界フィギュアには出場しないことを明らかにした。2人が肉体的にも精神的にも疲労していることは想像にかたくない。組んで間もなかった4年前、2人はすでに金メダルを見据えていた。それからソチまで、期待に見事にこたえ続けた。
来週の世界フィギュアにロシア代表として出場するペアは、ソチ個人戦の銀メダリストであるクセニヤ・ストルボワとフョードル・クリモフ組。ソチで思うような結果を出せなかったベラ・バザロワとユーリ・ラリオノフ組は、埼玉で雪辱を果たす。もう一組のロシア代表ペアは、ユリヤ・アンチポワとノダリ・マイスラゼ組。2人を指導しているのはナタリヤ・パヴロワ・コーチ。後に2006年トリノ五輪の金メダリストとなるタチヤナ・トチミャニナとマクシム・マリニン組を、最初の勝利に導いた実力者だ。
男子シングルのエフゲニー・プルシェンコはリハビリ中であるため、ソチ五輪前のロシア選手権で優勝したマクシム・コフトゥンが代表として出場する。コフトゥンは昨年3月にカナダで行われた世界フィギュアで17位に終わり、その結果、ロシア代表はソチ個人戦への出場切符を1枚に減らした。
アイスダンスにはソチ勢が出場
ソチに出場したアイスダンスの選手は、そのまま埼玉に行く。エレーナ・イリイヌィフとニキータ・カツァラポフ組と、エカテリーナ・ボブロワとドミトリー・ソロビヨフ組の対決は見逃せない。ソチの金メダリスト、バンクーバーの銀メダリストであるアメリカのメリル・デイヴィスとチャーリー・ホワイト組、またバンクーバーの金メダリスト、ソチの銀メダリストであるカナダのテッサ・ヴァーチュとスコット・モイア組は、今回の世界フィギュアに出場しないことが明らかとなっているため、6~7年ぶりに世界大会の金と銀の表彰台が空席になる。3組目の出場者はヴィクトリヤ・シニツィナとルスラン・ジガンシン組。
ソチの銀メダリストであるカナダのパトリック・チャン、銅メダリストであるカザフスタンのデニス・テン、またベテランであるフランスのブライアン・ジュベールは出場を見送った。同じくソチの銀メダリスト、韓国の金姸児(キム・ヨナ)も欠場する。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。