アレクサンドル・ヴィリフ撮影/ロシア通信
ソチが2007年に五輪開催地に選ばれた時、韓国の平昌(2位)とオーストリアのザルツブルク(3位)の方がよりふさわしいではないか、という声があがった。確かにソチには何もなかったからだ。
開会式と閉会式の会場となるフィシュト・オリンピックスタジアムを含むソチの会場施設の多くは2014年が明けても仕上げの最中だった。
その結果、開会式は全世界だけでなくロシアのオリンピック実行委員会にとっても、神経が高ぶる劇的な瞬間となりそうだ。
スキージャンプのエリアは大幅な遅れとコスト超過を経て、つい最近完成したばかりだ。そのコスト超過はあまりにも法外だったため、プロジェクト責任者は全国放送のテレビで公にプーチン大統領から叱責を浴びた。
冬季五輪開催都市としてソチを選ぶことでロシアが成し遂げたことは、従来型のモデルを覆したということである。
従来型とは五輪が米国、カナダやヨーロッパでの開催にみられたように、冬季リゾート地に改良を加え、仕上げる手法だ。
一方、ロシアの提案は「ロシア版リビエラ」と称された。夏のリゾート地としての知名度が高く、アルペンスキーの伝統が存在しないソチで一から始めたのだ。
10年前、ソチには世界クラスのスキーリゾートは皆無だった。だが、プーチン大統領がクラスナヤ・ポリャーナの山岳地帯をスキーリゾートにした途端にすべてが変わった。
ロシア人の富裕層がソチのスキーリゾートを選ぶようにするため、巨額の費用が投じられた。
最高峰ローザ・フートルには世界最長の一つに数えられる、標高差が大きく離れたコースがある。これは西欧や米国のスキー専門家の助力で設計された。
超現実的な場所!
ソチを訪れた米国代表スキー選手たちは「ソチはロシアが突然山岳地帯に冬季のディズニーランドを作ったかのような超現実的な場所だ」と証言した。
一方で、500億ドル(約5兆円)という膨張し続けるコストが指摘された。このコストは五輪史上最も高いものである。
西側の批評家は、まん延する腐敗とロシアのビザンチン帝国にふさわしい官僚制度のせいだという。
ソチが近年の冬季五輪で最大規模かつ最も豪華なオリンピックになることに疑いの余地はない。
6月にはG8サミット
今年6月にソチはG8サミット(主要8カ国首脳会議)の会場となる。秋以降に始まる新たなF1グランプリのイベントも予定されている。そしてフィシュト・オリンピックスタジアムは、18年にロシアで開催されるサッカー・ワールドカップの開催地の一つにもなる。
新興大国の国際イベントは目白押しだ。北京(08年夏季五輪)、南アフリカ(10年ワールドカップ)、そして12年のロンドン(夏季五輪)をはさんで今回のソチ。さらにブラジル(14年ワールドカップ、16年夏季五輪)、韓国・平昌(18年冬季五輪)と続く。20年の東京夏季五輪の後には22年にカタールでワールドカップが予定される。
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