五輪代表選考会となるロシア選手権が、ソチで行われた。男子シングルの結果はセンセーショナルだった。ショート・プログラムで首位に立った2006年トリノ冬季五輪金メダリストのプルシェンコは、フリー・プログラムでミスをし、合計点でコフトゥンにおよばず、2位に終わった。ロシア選手権では15年ぶりに金メダルを逃した。
フィギュアスケート団体戦は、ソチ五輪から採用される新種目。男子シングル1名、女子シングル1名、ペア1組、アイスダンス1組からなる、10ヶ国の代表が参加する。
ショートで2位だったコフトゥンは、大方の予想を裏切る形でライバルをこえ、ソチ五輪の個人戦への出場切符を手に入れた。「今シーズンは4回転ジャンプを5回決められていないから、これは課題のまま。今は一応準備は整っているけど、どこかがうまくいかなかった。これから準備するに十分な時間がある。それなりの結果を得られたことはとてもうれしい。ようやく少しだけ休むことができるから、6日ぐらい時間をとって、新たな力を蓄えて、ヨーロッパ選手権にのぞみたい」。
プルシェンコはソチ五輪の団体戦への出場を希望している。「私は団体戦を選んで、若くて有望な選手に個人戦をゆずるよ。すべてをしっかり、そして正しく理解している。私には団体戦で十分なんだ」。
ただし、プルシェンコのアレクセイ・ミシン・コーチは「ロシア2」テレビの取材に対し、ソチ五輪の男子シングルの出場者について今結論づけるのは時期尚早と話した。「誰がどの大会に出場するかは、ロシア連邦スポーツ省とロシア・フィギュア・スケート連盟が決めること。強くて才能のある選手が2人いることは良いことだ。ケガなどのさまざまな事態を想定する必要があるから、いくつかの案を頭の中で用意しておく必要がある。誰が、いつ、どのように出場するか、ということは、もう少し後で決定する。プルシェンコが言ったことは、フリーの後で感情的になっただけ」。
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プルシェンコの夫人である、有名な音楽プロデューサーのヤナ・ルドコフスカヤもコーチと同じ意見だ。夫の五輪の出場について、希望を失ってはいない。「エフゲニーがソチ五輪に完全な態勢でのぞむと信じてる。最近のフリーの滑りを練習で見ていたけど、素晴らしい出来だったわ。復活してまだ2回目の試合。ショートで完璧だったけど、足が最後まで高いレベルを維持してくれなかった」。
ロシア選手権の2位は失敗ととらえられるかもしれないが、1年前は復活すら危ぶまれていたことを忘れてはいけない。長年の過酷な練習と大会によって疲労困ぱいしているプルシェンコは、五輪出場のためにリスクを選んだ。
2月に腰の手術を受けた。4本のボルトで固定された人工椎間板が腰椎を支えている。イリヤ・ペカルスキー医師によると、プルシェンコの腰の状態は普通の生活も困難なほど悲惨だったという。「プルシェンコには数年間強い痛みがあった。小さな手術を3回受けたが、あまり変わらなかった。椎間板1枚は完全に崩壊していて、2枚目は負荷が増えたことで状態が悪くなっていた。神経が強く圧迫されていたから、足の弱さを感じていたんだ」。
「私の復活を信じた人は少なかった。これは復活後2回目の試合。皆があり得ないと驚いていたが、これがあり得ることだと証明できた。ただ、フリーはもっとうまく滑れたはずだけど」とプルシェンコ。
ソチ五輪の男子シングルの個人戦出場者が決まるのは、1月13~19日にハンガリー・ブダペストで行われるヨーロッパ選手権の後。