エカテリーナ・ボブロワとドミトリー・ソロビヨフ組=アレクサンドル・ヴィルフ撮影 / ロシア通信
ペア
出場枠:3組
有力候補:タチヤナ・ボロソジャルとマクシム・トラニコフ組
候補:ベラ・バザロワとユーリ・ラリオノフ組、クセニヤ・ストルボワとフョードル・クリモフ組、川口悠子とアレクサンドル・スミルノフ組
ボロソジャル・トラニコフ組は、2014年ソチ五輪の金メダル候補だ。ドイツのアリオナ・サフチェンコとロビン・ゾルコーヴィ組との激しい争いが見物。12月5~8日に福岡で行われるグランプリ・ファイナルは、五輪の前哨戦となる。ボロソジャル・トラニコフ組の曲は、独自のジョークとも言える。ショート・プログラムに使うアラム・ハチャトゥリアンのバレエ音楽「仮面舞踏会」はまだいいとして、フリー・プログラムのアンドリュー・ロイド・ウェバーのロック・オペラ「イエス・キリスト・スーパースター」は、かなり大胆な選択だ。それはトラニコフの黄色い長ズボンも同じ。とはいえ、ビートルズの音楽を聴いて 育ち、ソ連のスローガン「世界に平和を」を観客に訴えたい人にとって、これは自然な選択だろう。ボロソジャル・トラニコフ組の計画には、さらなる大実験が 含まれているが、肝心の勝利を手中にした上でなければ、とても試すことなどできない。
川口・スミルノフ組は今シーズン初め、ソチ五輪の有力候補だったが、スミルノフが膝に大ケガをしてしまい、計画に影響を及ぼした。それでも「カチューシャ」とチャイコフスキーの交響曲「マンフレッド」が、ソチの会場で流れる可能性はまだある。膝の手術後さほど時間が経過していないものの、スミルノフはすでに氷上に上がっており、スケジュールをこなそうとしている。
女子シングル
出場枠:2人
有力候補:ユリア・リプニツカヤ
候補:アデリナ・ソトニコワ、エリザヴェータ・トゥクタムィシェワ、アンナ・ポゴリラヤ
ソチ五輪行きの2枚の切符をめぐり、4人のスケーターが争っている。ここにはジュニアのエレーナ・ラジオノワは含まれていない。
リプニツカヤの出場はまだ不透明だが、観客はすでに応援準備に入っている。体のやわらかさもさることながら、選曲も驚きだ。フリー・プログラムに使われ るのは、かなり難しい「シンドラーのリスト」。ロシア杯の滑りを自分のキャリアの中で最悪だと言っていたが、花束とぬいぐるみはたくさんふっていたし、ス ケートカナダに続く金メダル獲得も果たした。「愛しているならあきらめない」に沿ったショート・プログラムでは、72.24点をマークした。
リプニツカヤとともに五輪のメンバー入りを果たそうとしているのは、ソトニコワとトゥクタムィシェワ。とはいえ、この2人が一緒にソチに行くことも十分あり得る。バックにはタチヤナ・タラソワとアレクセイ・ミシンがいるからだ。2人のうちどちらにチャンスがあるかと言えば、ソトニコワ。ショート・プログ ラムには「カルメン」を使い、グランプリ・ファイナルに選出された。
男子シングル
出場枠:1人
有力候補:エフゲニー・プルシェンコ
候補:マクシム・コフトゥン
プルシェンコは腰の問題でロシア杯には出場しなかったため、コフトゥンに注目が集まった。新コーチのエレーナ・ブヤノワに学び、ジュニアのグランプリ・ファイナルで優勝していたが、突如シニアに転向し、ヨーロッパ選手権に出場して5位を獲得。世界選手権では17位にとどまったが、プルシェンコ不在のな か、コフトゥンはロシアの希望となった。
コーチは新シーズン、ショート・プログラムの4回転ジャンプ2回と、フリー・プログラムの4回転ジャンプ3回を”プレゼント”した。中国杯で2位、そし てロシア杯でも2位に位置した。ロシア杯のショート・プログラムでは「フラメンコ」に合わせてスペインの色男を演じ、見事な滑りでタチヤナ・タラソワを喜ばせた。だがチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」を使ったフリー・プログラムでは、同じように滑ることはできなかった。キス・アンド・クライで本人 は、最初のジャンプの失敗ですべてが台無しになったと話したが、コーチは経験不足だと述べた。
それでも福岡のファイナルには出場できる。ソチに行けるか否かは不明で、プルシェンコの体調によっても大きく変わる。ロシアの男子シングルの出場枠は1人。経験豊富なプルシェンコに勝っている点は、ショート・プログラムのロシア最高得点がコフトゥンのものであること。
アイスダンス
出場枠:3組
有力候補:エカテリーナ・ボブロワとドミトリー・ソロビヨフ組
候補:エレーナ・イリイヌィフとニキータ・カツァラポフ組、エカテリーナ・リャザノワとイリヤ・トカチェンコ組、クセニヤ・モニコとキリル・ハリャヴィン組
ボブロワ・ソロビヨフ組には五輪シーズン前、ケガやショート・プログラムの修正といった苦労があった。また、フリー・プログラムの音楽と衣装も変更している。新たに使われているのは、ビバルディの「四季」とモーツァルト「レクイエム~ラクリモーサ~」。アレクサンドル・ジュリン・コーチによると、フリー は昨年の2倍難しくなっているという。ロシア杯のショート・プログラムでは、カナダのケイトリン・ウィーバーとアンドリュー・ポジェをこえたものの、フリー・プログラムではミスをしてしまった。最高の演技ではなかったが、高得点をマークし、1位の座を守ることができた。
イリイヌィフ・カツァラポフ組はロシア杯に参加しなかったが、エリック・ボンパール杯では地元の選手をこえて銀メダルを獲得している。ニコライ・モロゾフ・コーチによると、2人はこれまでで最高の状態にあるという。本人たちは、フリー・プログラムにバレエの要素を加えると言っている。
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