ヤロスラヴリ 出身のパーヴェル・クロトフ(21)=ウラジーミル・ペスニャ / ロシア通信
エアリアルのパーヴェル・クロトフ
ロシア代表がソチ五輪のエアリアルで金メダルを狙うなどということは、以前は非現実的な話に聞こえた。だが今は状況が大きく変わっている。ヤロスラヴリ出身のパーヴェル・クロトフ(21)は、2012年1月にカナダのモンガブリエルで行われたワールドカップで、この種目では7年ぶりとなる金メダルを、ロシアにもたらした。クロトフはこの時、カナダのオリビエ・ローション、日本の田原直哉を圧倒。最高レベルの大会に出場するようになって、わずか2シーズン目での快挙だった。
クロトフはケガに悩まされ、一時は引退まで考えるほどだったが、コーチのおかげで困難な時期を乗り越えることができた。クロトフはソチ五輪のメダル候補の一人であり、期待に応えてくれそうだ。
「もうプログラムは完成しているし、その難易度では、強い中国の選手のプログラムに劣らない。質の良いジャンプをすれば、五輪でも結果を出せるかもしれない。ただ、着地の部分をもう少し改善する必要がある。あと3階建ての建物と同じ高さから着地すると、膝と脊椎にすごく大きな負担がかかるから、体重を維持することが必要」とクロトフ。
スケルトンのオリガ・ポツィリツィナ
クラスノヤルスク出身のスケルトンのオリガ・ポツィリツィナ(24)も五輪で期待できる選手だ。足の大ケガから復活し、戦えるコンディションを整えた。10月末にはソチの五輪コースで行われたロシア・カップで、キャリア3個目となる金メダルを獲得した(2分1秒16)。
この結果なら、十分表彰台に上がる可能性があるが、それを現実のものにするためには、安定が必要となる。昨年は好調なスタートを切りながら、後退してしまった。
ポツィリツィナはアルペン・スキーか ら始めたが、大ケガによってこの種目での成功をあきらめている。2007年に父から助言を受けてスケルトンに転向し、6年でロシア代表のトップ選手になった。速度記録は時速138キロメートル。ソチのコースはよりなだらかで、速度が出にくいが、勝敗を左右するような場所がある。
「五輪のコースには、ミスをしやすい、すごく難しい場所がいくつかある。これによって結果がわかれると思う。コースについては十分わかっているから、結果に影響しそうなのは緊張だ け。去年たくさんのことを学んだから、今シーズンは最高の結果を出せそう」とポツィリツィナは話す。
お家芸のバイアスロン
ロシアでもっとも人気のある冬季種目の一つはバイアスロン。ここでもメダルが期待できそうだ。ロシアの女子バイアスロンは長きに渡り、ステータスを維持し続けているが、男子はパーヴェル・ロストフツェフ、ウラジーミル・ドラチョフ、アレクサンドル・チホノフなどが引退した後、あまり結果を出せていない。だがエヴゲニー・ガラニチェフ(25)、ティモフェイ・ラプシン(25)、特にドミトリー・マルィシコ(26)などの新しい世代には期待できそうだ。
マルィシコが最高レベルの大会に出場するようになったのは、数年前のこと。だが短い期間で存在感を示した。専門家の予測によると、スプリントでも長距離でもメダル候補になっている。世界選手権(2013)で4個の金メダルを獲得している他、国際バイアスロン連盟の2011~2012年シーズン新人賞を受賞している。
「健康問題さえなければ、ソチ五輪のメダルは現実的。昨シーズンは一応、ほとんどの競争でメダルを獲得しているし。マルタン・フォカード、エミル・ヘグレ・スヴェンセンと戦う瞬間を心待ちにしている。地元で彼らに勝ちたいという希望に燃えている」とマルィシコ。
モーグル、フィギュアスケート
モーグルのアンドレイ・ヴォルコフ(27)とセルゲイ・ヴォルコフ(25)の兄弟も、好結果を残している。昨シーズンは、アメリカのディアバレーで行われた世界選手権のデュアルモーグルで、アンドレイは3位、セルゲイは優勝という成績を残した。2008年以来のトップである。ソチでの活躍も期待される。
ソ連とロシアの選手が常に中心的役割を果たしてきたフィギュアスケートでも、新しい選手が才能を発揮している。ユリア・リプニツカヤ(15)、エリザヴェータ・トゥクタムィシェワ(16)、アデリナ・ソトニコワ(17)、ポリーナ・コロベイニコワ(17)、マクシム・コフトゥン(18)は、世界レベルの滑りを披露する準備を整えた。この中で誰が頂点を極めるか――。
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