アイスホッケーはウラジオ経由アジア着

ウラジオストクの新しいアイスホッケー・チーム「アドミラル」は9月6日、コンチネンタル・ホッケー・リーグ(KHL)で初めての試合を行った =タス通信撮影

ウラジオストクの新しいアイスホッケー・チーム「アドミラル」は9月6日、コンチネンタル・ホッケー・リーグ(KHL)で初めての試合を行った =タス通信撮影

ウラジオストクの新しいアイスホッケー・チーム「アドミラル」は9月6日、コンチネンタル・ホッケー・リーグ(KHL)で初めての試合を行った。政治、スポーツ、商業のすべての面で、太平洋岸にはチームが不可欠だった。ロシア、旧ソ連共和国、チェコ、スロバキアで構成するKHLは、北米のNHLと並ぶアイスホッケー・リーグの最高峰。

 アドミラルは初めてのシーズンを、最寄りのハバロフスクからスタート。1957年に創設された当地のチーム「アムール」とのアウェイ戦だ。極東ダービー という新たな目玉試合ができたことは感慨深い。ハバロフスクにおけるアイスホッケーの人気の高さは、アドミラルの創設者の自信につながった。アドミラル営業部のイーゴリ・チホンコ部長はこう話す。

 「ハバロフスクの『プラチナ・アリーナ』(アムールのホーム)の7000席をめぐって、2万人が争う。それも1 回の観戦チケットじゃなくて、シーズンパスの購入希望者だ。ウラジオストクでもこのような状況になるだろう。チームはまだできたばかりだが、ファンは我々の電話番号をどこからか調べてきて、電話をかけてきたし、情報を探していた。ホームで行われた初めての練習には、平日にもかかわらず約300人が集まっ た。つまり、期待できるスポーツ・チームが街に必要だったってこと」。

 アドミラルの選手は期待させるだけのものを持っている。対アムール戦はダービーと呼ぶにふさわしい白熱した試合だった。規定時間内で3対3のドロー、緊張の延長戦、そしてペナルティーショット。4対3で勝利したアドミラルは、見応えのある試合ができること、そして結果をだせることを証明した。ファンは今からホームのデビュー戦を楽しみにしている。

 

KHLの東方拡大を目指す 

 極東でアイスホッケー・チームをつくるプロジェクトに参加した一人、有名な元アイスホッケー選手で、ロシア上院(連邦会議)のヴャチェスラヴ・ フェティソフ議員KHLの東方への拡大が国家政策の重要な要素だと話す。ちなみにアドミラルのホームの「フェティソフ・アリーナ」とは、フェティソフ氏 の名前である。

 「国は極東の発展に資金を投じている。最初にここでAPECサミットを行うことが決まり、インフラ整備を含むさまざまなプロジェクトが始 まった。発展はいまだに続いている。スポーツを通じて国レベルでこの地域の存在感を示すことができるようなものが必要。KHLはここに質の高い試合を持ち 込むから、アイスホッケーは大人気になる」とフェティソフ氏。

 KHLは太平洋岸まで興行範囲を広げなければならない。ここから中国、韓国、日本というアジアの経済大国にこの商品が輸出されるのだ。 KHL2012~2013年シーズンの個別の試合が、これらの国で放送されるようになった。この支援を行っているのが、サッカーW杯やアイスホッケーW杯 の放送権を扱っている、スイス系のスポーツ・マーケティング会社「インフロント・スポーツ・アンド・メディア」。

 

日、中、韓のリング上での熱き戦い 

 2018年には韓国が平昌冬季五輪を行う。KHLはこれまでにアイスホッケーの人気が高まることを期待している。KHLのイリヤ・コチェルヴィン営業副部長によると、日本、韓国、中国は、五輪アイスホッケーの特別な意義を理解しており、メダル争いにはならずとも、互いに負けじと戦うことになるのだとい う。

 ロシアだけでなく海外の観客を期待しているアドミラル・チームにとっても、五輪の意義は大きい。アイスホッケーの試合に限ったことではない。フェティソ フ・アリーナが活用されれば、チームの収入になるのだ。運営者の計画によれば、この施設で年間120回以上のイベントが行われる。アリーナの日程を作成しているのは、アメリカの大手ケーブルテレビ会社「コムキャスト」。アドミラルのフロントの目標の一つは、アメリカでアドミラルとアリーナ、そしてウラジオ ストクそのものの人気を高めることだ。

 

日本の泉翔馬選手KHLドラフト一巡目指名 

 アジアのスポーツ・ファン、放送局、スポンサーの関心を引こうと、アドミラルはシーズン前のドラフトの最初の2ラウンドで、ロシアの若者ではなく、日本の泉翔馬選手と、韓国のリ・ジェホン・ユナ選手を選んだ。

 チホンコ部長はこう話す。「日本と韓国のファンやパートナーに興味を持ってもらえるように、これらの選手に注目していた。日本や韓国ではアイスホッケー は伝統スポーツではないし、強いベテランもいない。だが経済的な需要と希望があれば、伝統にすることができる。これはテニスで実感した(チホンコ氏は、数年間クレムリン 杯の指揮をとっていた)。テニスでは当初、伝統のある国の選手が強かったが、現在では各国に国際レベルの強い選手が少なくとも1~2人はいる。だからうち のスカウトマンはアジアで才能のある選手を探すことになる。またアジア諸国で親善試合も行う」。

 アドミラルの創設は、KHLアジア部門をつくるための新たな一歩だとフェティソフ氏は考える。「ウラジオストクとハバロフスクにチームがあるが、五輪が 行われた日本の札幌と長野に2チーム、中国の北京とハルビンに2チーム、韓国のソウルと平昌に2チームできれば。NHLは日本で公開試合を行ったが、会場は満席だった。これはシグナル。NHLは放送と商品の販売を考えているが、我々は試合をアジアで開催したい」。