「数年後にはリーグに日本、韓国、中国から それぞれ2チームずつぐらい呼ぶことができるかもしれない」とロシア上院(連邦会議)のヴャチェスラフ・フェティソフ議員が語る。=AP撮影
KHL:北米のNHLと並ぶアイスホッケー・リーグの最高峰
KHLは2008年に始まったロシア・スーパーリーグの後身で、ロシアだけではなく、旧ソ連共和国やチェコ、スロバキアも参加している。
アイスホッケー・ソ連代表の選手として五輪金メダルの獲得を2度経験している、ロシア上院(連邦会議)のヴャチェスラフ・フェティソフ議員は、東方へのロシア・リーグ拡大をずっと夢見ている。スポーツ省の大臣だった時も、KHL理事会の理事長だった時も、これを話していた。そして中国、日本、韓国のチームを加えた、ヨーロッパ&アジア・ホッケー・リーグの創設もその構想に入るようになった。
だがこれまで、今ほどフェティソフ議員の夢が現実に近づいたことはなかった。できたばかりのウラジオストクのアドミラルは、来シーズンからKHLに参加する。ロシアの極東にはこれまで、ハバロフスクにアイスホッケー・チーム「アムール」(1957年創設)があるだけだった。太平洋岸にもう一つのチームができたことは、KHLの多様性と大胆さを考えれば、その方向性を示していると解釈できる。
日本、韓国、中国に秋波
KHLには来シーズンから、クロアチアのチーム「メドベシュチャク」も参加するが、KHLがヨーロッパのチームだけではなく、人口の多い東洋の市場にも興味を持っていることは明らかだ。アジアのほとんどの国でアイスホッケーはまだ萌芽期にあるが、中国または日本の試合観戦頻度はもしかしたら、KHLの平均観戦頻度を上回るなんてことになりやしないか。
「環太平洋地域のKHLの発展は、長期計画の一部となっている。具体的な時期をはっきり言うことはできないが、数年後にはリーグに日本、韓国、中国から それぞれ2チームずつぐらい呼ぶことができるかもしれない」と、国際アイスホッケー連盟の公式ウェブサイトが、フェティソフ議員の言葉を伝えている。
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国際的にはこのような統合の利点は明らかだが、国内的にはどうだろう。KHLのチームはその多くを国営企業の資金や地域予算に頼っていて、国際化などあり得ない状況だ。この意味で、アジアからの参加が正当化されるとしたら、各国のスポンサーが資金調達を受け持ち、KHLが会場の建設とホッケー選手の選定 のみを管理する場合に限られる。スロバキアのチーム「スロバン」の例は、このような案が現実的であることを示した。ただしこれは、創設されて1世紀ほどが経過した、固定ファンのいる完成されたチームの話である。
北朝鮮も参加に関心
ロシアの高官の発言から、KHLの東方への拡大計画は現実的であることがうかがえる。沿海地方立法議会のヴァレリー・カン議員は、タス通信のインタ ビューに応じ、アジアの主要国だけでなく、北朝鮮もKHLへの参入を考えていることを明かした。「韓国国会の議長とホッケー・チームの創設について話し た。参加した議員の一人が、北朝鮮にもチーム創設について聞くことはできるかと尋ねてきた。彼らは北朝鮮との友好に関心を持っているんだ。北朝鮮に話したところ、興味を示した。よく電話がかかってくるし、フェティソフ議員を高官やスポーツ界のトップのレベルで招待している。北朝鮮にホッケーリンクはあ る」。
夢は広がる
リンクがあることはいいことだ。ただ1960年代で止まっている北朝鮮の選手が、強いKHLで戦える可能性はなさそうだ。これは北朝鮮代表の状況を見る とよくわかる。北朝鮮アイスホッケー協会が国際アイスホッケー連盟に加盟したのは1970年だが、代表は常に一番下のディビジョンにいた。40年後の 2010年にようやく、一つ上のディビジョンに昇格することができたものの、財政難によってオーストラリア・メルボルンで開催されたディビジョンIIの試 合に参加できなかったため、すべての試合を0:5で不戦敗してしまい、実力を示す機会を失った。
北朝鮮チームのKHLへの参入は、冗談レベルでしか話せないことは明らかだ。たが北朝鮮のことを考えると、どんどん想像がふくらんでくる。特にチーム名を考え出したら、「ロケット」、「チュチェ(主体)」、「敬愛する首領様の敬愛するチーム」なんて具合に・・・
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