=コンスタンティン・チャラボフ/ロシア通信撮影
世界的に有名なボストン・マラソンで発生した爆破事件は、来年ロシアで開催される冬季五輪の安全性に対する不安を呼び起こした。多くの西側諸国の専門家は、この事件が発生する前から、国際オリンピック委員会(IOC)による開催地の選定に疑問を示していた。ソチに世界基準のスポーツのインフラが整っ ていないだけでなく、最近まで戦争が行われ、イスラム教徒の反乱がまだ続いているロシアの”火薬庫”、北カフカスに地理的に近いというのがその理由だっ た。
観戦者用パスポートの試験運用OK
だが五輪の開催を担当するロシア当局は、ボストンの事件後すぐに、国際社会の懸念を払しょくすべく対応した。ドミトリー・コザク副首相は、五輪開催中の 安全性確保が最優先課題だと話した。「あらゆる不安に対して完全に準備ができているとは言えないが、ソチでアメリカの悲劇がくり返されないよう、やるべきことをすべてやる。各イベントの状況を詳細に分析している」。
コザク副首相によると、起こり得る暴力行為から五輪を守ることは可能で、特別に考案された 「観戦者用パスポート」の試験的運用はうまくいったという。
ヘリと艦船含む特別部隊を編成
五輪を守るのは、ロシア警察の屈強な部隊だ。ロシア連邦非常事態省監督業務部のユーリー・デシェヴィフ部長によると、オリンピックとパラリンピックを担当する特別部隊を現在準備しているのだという。
そこには救助隊員と消防隊員を約1500人動員し、4機のヘリコプターと5隻の船を含む約100機の設備を 導入する。
また、消防救急センター16ヶ所も設置される予定で、うち12ヶ所はすでに完工し、業務を開始している。すべての下部組織に最新機器が装備され、第35消防局には緊急対応用4輪車や、10トンの水と2トンの泡消火原液を積載可能な特別な消防車がある。
警官7万人動員
治安を維持し、直接的に現場対応するのは7万人の警察官だ。警察官はグループにわかれ、外国人と会話ができるようにそれぞれのグループに通訳が配置され る。何か事件が起こった場合に、外国人が速やかに被害届を書けるように、ロシア内務省は外国語の特別な書式のサンプルを作成した。記入はいたって簡単で、 すでに記載されている項目の中から当てはまるところにチェックを入れるだけだ。五輪に参加するすべての国の言語で書式が用意される。
山岳部隊も編成
警察の特別下部組織の要員は、すでに登山家用の訓練を始めている。場合によっては山岳地帯で活動し、非常事態の際に救助活動を行えるようにするためだ。
また、五輪の安全性を確保するために調達される、ハイテク検査機器の使い方も学ぶ。この検査機器は世界の大きな空港で使われている技術に適合する。
ロシア内務省大型行事組織部のセルゲイ・ボリソフ部長によると、安全性の面でソチ五輪はもっとも高いレベルで行われるという。
「ソチ五輪に向けた要員の準備を徹底して行っている。たくさんの訓練が行われており、厳しい肉体トレーニングや英語の学習などもある。五輪に配置されるのはロシア各地の優秀な警察官ばかりだ。これほどの大きなイベントでロシアをアピールできることは、大きな誇りだ。ボストンの悲劇は国際社会全体にとって衝撃だった。このようなこと が二度と起こらないことを願う。スポーツと政治は別ものだ」。
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