タチヤナ・ボロソジャルとマクシム・トラニコフ組は、自信に満ちた演技で特筆すべき勝利を手にした。 =ロシア通信撮影
意外な銅メダル
アイスダンスの銅メダルは意外な結果だった。エカテリーナ・ボブロワとドミトリー・ソロビヨフ組のコーチであるアレクサンドル・ジュリン氏は、自身にも記者団にも正直だった。ボブロワ・ソロビヨフ組はジュリン氏の指導を受けてから成長したものの、フランスのナタリー・ペシャラとファビアン・ブルザ組の演技はまとまっており、審査員の目に経験豊富で貫録のあるメダル獲得者として映っているこの2人は、銅メダルを獲得しても不思議ではなかったという。
特筆の金
ペアのタチヤナ・ボロソジャルとマクシム・トラニコフ組は、自信に満ちた演技で特筆すべき勝利を手にした。というのも、ロシアのスケーターは2009年以降、世界選手権で金メダルを手にしていなかったし、ペアにいたっては2005年以降ごぶさただったのだ。また、ボロソジャル・トラニコフ組は、これまでに4回世界チャンピオンになっている、ドイツのアリオナ・サフチェンコとロビン・ゾルコーヴィ組を超えた。このペアは他をまったく寄せつけない強豪だったが、2011~2012ISUグランプリファイナルでは、わずか0.18点差まで迫っていた。今回は約20点差で勝利し、さらにフリー(149.87)と合計点(225.71)では歴代最高得点を記録した。
今回のペアとアイスダンスのメダルにより、2014年ソチ五輪にはペア3枠、アイスダンス3枠という最大限の出場枠を獲得できた。シングルはやや不安が残る。女子シングル2枠、男子シングル1枠だ。
シングルはやや不安
シニアに昇格したばかりの17歳のマクシム・コフトゥンは、男子シングルの出場枠を2枠に広げるための10位以内に入ることができなかった。ショートで男子にとって重要な4回転ジャンプを決めることができず、19位まで落ちた。
コフトゥンはこうコメントした。「試合前練習でコントロールできないような疲労が足に重なっていった。自分の演技が始まった時、足が震えているのを感じた。4回転ジャンプに失敗した後に緊張がほぐれ、どうでもいいやって思ったら残りがうまく滑れた。実力以上の滑りを見せたくなっていた。今大会前はすごく緊張して、抑えられなかった」。
経験を積んだスケーターでも足が震えることがあるのだから、最近までジュニアにいた選手ならなおのことだ。世界チャンピオンのパトリック・チャンも転んだし、アイスダンスの世界チャンピオンで五輪金メダリストの、テッサ・ヴァーチュとスコット・モイア組にもエレメントの失敗があった。
将来につなげたトゥクタムィシェワ
若き女子シングル選手のエリザヴェータ・トゥクタムィシェワは、リンクで確信に満ちた滑りを見せ、試合後もリラックスしていて、記者団を驚かせた。
滑りについて、コーチのアレクセイ・ミシン氏が説明した。「今回は五輪チャンピオンのキム・ヨナに勝とうとしていた。だがこの高い目標のせいで、ショートに影響が出てしまい、ミスもあって14位に終わってしまった。それでも非常に印象的な滑りを見せた。将来有望な選手だから、10位という結果でも恥とは思っていない」。
トゥクタムィシェワは明るくこう話した。「キム・ヨナを超える計画なんて知らなかったし、同じ場所で一緒に滑る機会もなかった。正直なところ、私はキム・ヨナも他の選手も競争相手として意識することはなく、自分自身に集中していた。今回ミスをしたけれど、緊張していたからではなかったし、自分がシニアに上がりたての新人であることもまったく意識しなかった」。
「プルシェンコは大人のオオカミ」
ミシン氏はロシアNOWの取材に対し、もう一人の教え子、エフゲニー・プルシェンコの今後の計画について話した。プルシェンコは、1月31日にイスラエルの病院で椎間板(ついかんばん)ヘルニアの手術を受けた後、リハビリを続けている。「こう言っておこう。プルシェンコがソチ五輪のリンクに登場したら、子犬の中に現れた大人のオオカミのように見えるだろう。プルシェンコの職人技は極めて高く、非常にたくさんのことをマスターし、さまざまな経験をしてきた。30歳の人間が積み重ねた年功は特別なものだ」。
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