映画シリーズ「X–MEN」の主役で人気を博し、一級のスターになる前に、スコットランド出身の俳優、ジェームス・マカヴォイは「ナルニア国物語」やイギリスの「つぐない」だけでなく、マーク・ミラー原作「ウォンテッド」を基に、マーヴェルコミックスとDCコミックスと共同で制作された「ウォンテッド」にも出演した。この作品への出演を機に、マカヴォイはロマンティックなメロドラマだけでなく、アクション映画のヒーローとしても認識されるようになったのだが、これは驚くべきことではない。
マカヴォイ演じるウェスリー・ギブソンは、うだつの上がらないサラリーマンで、それがある日、「フラタニティ」という秘密結社が彼に近づき、最高の殺し屋にしようとする。「ウォンテッド」は、アニメ「スパイダーマン」のような古典的なストーリー展開を踏襲したものである一方で、もちろん、「マトリックス」の影響も受けている。ギブソンは退屈な生活をもっと刺激のあるものに変え、型にはまった人生から脱却しようとするある種の「ネオ」である。もっと正確に言えば、「運命の意思」に逆らおうとする。
その秘密結社の拠点となっている織物工場は、主に、チェコ、プラハにあるかつての砂糖工場内で撮影された。チェコの首都近辺は中世のクルシヴォクラト城があり、マカヴォイ演じる登場人物の運命にまつわる重要なシーンがいくつかその中で撮影されている。一方で、アクションシーンの多くはプラハだけでなく、シカゴでも撮影された。カーチェイス、印象的な銃撃シーン、そしてジェームス・ボンドの映画ばりの本格的なハリウッド風の列車事故シーン。
作品の中で使われている1000を超える特殊効果は、ベクマンベトフ率いるチームがロシアのスタジオ「バゼレフス」で、ロシアのソフトを使って作り上げた。特殊効果の費用は100万ドルを超え、映画の制作費は7500万〜1億5000万ドルとも言われる。しかし、その制作費を回収するのには成功している。映画は世界で3億5000万ドルの興行収入を上げ、公開初日には、「ダイ・ハード」や「ボーン・アルティメイタム」以上の記録を出した。加えて、作品はアカデミー賞で、音響賞と音響編集賞を受賞している。
「ウォンテッド」のジャンルは、「アベンジャーズ」や「X–MEN」のような人気の作品で見慣れたようなコミックスではなく、エネルギッシュなアクション映画である。まったく冴えない人物がスーパーパワーを手にするという古典的なストーリーにも関わらず、原作者のマーク・ミラーはシナリオの制作には長い時間をかけた。作品を「スパイダーマン」とは違ったものにしたかったのである。その意味で、ベクマンベトフ監督にはちょうど、超能力をストーリーから排除し、コミックスの雰囲気を残しつつ、アクション映画のジャンルに集中することができた。
興味深いことに、のちに、俳優のクリス・プラットが登場する。クリス・プラットは、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」の主役として出演するかなり前に、「ウォンテッド」に出演し、マカヴォイの彼女と共にマカヴォイを裏切るウェスリー・ギブソンの「親友」役を演じている。ちなみに、現在、Netflixで再びこの映画が人気を博している中、ベクマンベトフ監督は、オリジナル版が公開されたときから噂されている続編への出演をプラットに打診している。
「ウォンテッド」でヒロイン役を演じるのはアンジェリーナ・ジョリー。彼女はウェスリー・ギブソンに、その力や秘密結社との関係について告げ、結果的に、最初は豚を使って、そして後には「悪者」を撃つための銃撃の仕方を教える指導者となる。
2008年に映画が公開されたとき、ハリウッドの素敵な美女アンジェリーナ・ジョリーは、壮大なアクションものの「トゥームレイダー」や「ミスター&ミセス・スミス」にも出演していた。「ウォンテッド」では初めてロシアの監督や俳優との撮影に臨んだだけでなく、あるシーンでは、ロシアを代表する自動車「ジグリー」を運転している。
アンジェリーナ・ジョリーはどうやらロシア的な雰囲気にのめりこみ、数年後には、フィリップ・ノイスの「ソルト」で、CIAとKGBの二重エージェントであるナターシャ・チェンコフ役を演じた。その映画には、彼女が白樺を背景に駆け抜ける印象的なシーンがある。
映画の重要な役の一つを演じているのがロシアの俳優、コンスタンチン・ハベンスキー。ハベンスキーが演じるのは、秘密結社のメンバーで、ギブソンの指導者の1人。中には、アンジェリーナ・ジョリーがハベンスキーに人工呼吸を施す場面がある。
2005年のベルリン国際映画祭で上映され、後にアメリカでも公開された「ナイト・ウォッチ」で一躍、注目されたベクマンベトフ監督にとって、「ウォンテッド」はハリウッドデビュー作となった。この作品の後、ベクマンベトフはティム・バートンとアニメ「9 〜9番目の奇妙な人形」を作ったほか、「リンカーン / 秘密の書」と歴史的な「ベン・ハー」を制作した。
その後、スクリーンライフ方式を考案し、これを使用した「アンフレンデッド:ダークウェブ」、「サーチ」、「プロフィール」を制作した。さらに最近、プラットフォーム「スナップチャット」で、スクリーンライフドラマ「デッド・オブ・ナイト」をリリースした。
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