「四季」シリーズは、様々な絵柄のついた4つのクリスタルの花瓶(雪片、花びら、陽光、葉)で構成されている。この作品は、季節の移り変わりを窓からしか見ることができなかったコロナ禍の2020年にインスピレーションを受けて作られた。建築家で画家のオリガ・トレイヴァス率いるTreivasデザイン事務所は、素材の性質そのものを再解釈した。クリスタルは伝統的に脆さを連想させるものであるが、この作品は逆に記念碑的な重厚さとやや粗々しさをも感じさせる。素材の使い方の他に、デザイナーたちは、文化的背景にも違った視点を向けている。ソ連時代、クリスタルは標準化されたもの、また品不足の商品と同意語であったが、祝祭日、魔法のようなもののシンボルでもあった。この「四季」シリーズは、「イリーナ・バラノワ・ビジネス・ラボラトリーB.Lab」と共同でデザインされ、歴史的なグーセフ・バフマチエフ・クリスタル工場で製造された。
ワジム・キバルディンはSpiritus by KIBARDINのリリースを開始した。特許を取得したこの作品は、いくつもの機能を備えたもので、アロマディフューザーであり、AIを使った電子時計でもある。商品は、木の表面を焦がした焼き杉風に作られており、LEDのライトでマジカルな効果を出している。ディフューザーは30分から180分でタイマー設定ができる(容量は300ml)。
デザイナーは「エモーショナル・リサイクル」スタイルを特徴としている。彼女の作品は、子ども時代の思い出や過去の忘れ去られたものに「新たな息吹を与えている」。バーブシカシリーズは、オリガの祖母の木造の家の生活を再現したものである。家具のデザインには、ロシアの竃でパンを焼くときに使われたシャベルや糸車のイメージが使われている。このシリーズのデザインは、穏やかな子どもの気分と親しみある家の温もりを感じさせる。シリーズは、樫でできた形の異なる7つの椅子から成っている。それぞれ20脚ずつと限定された数で作られている。ヨーロッパのデザイン・ギャラリーMia Karlova Galerie(アムステルダム)とArmel Soyer(パリ)で目にすることができる。
石膏と光学プラスティックでできた魅力的なアート作品には深い哲学が込められている。「新たな視点」は、変わりつつある現実に対する答えである。デザイナーたちは、この作品を、ソーシャルネットワークや全体的なデジタル化というプリズムを通して現代人たちが持つようになった新たな世界観をテーマにした瞑想であるとしている。
ヴィタリー・ジュイコフ・デザインスタジオは、手工業と新技術を融合させた作品を生み出している。たとえば、定期的に新作が加わっているコレクション「ポータル」には、「郷土的リサイクル」の雰囲気を持つユニークなインテリア作品が含まれている。作品は古い窓の側枠で作られている。このユニークなショーケースは、歴史的に木彫りで有名なゴロデツで20世紀初頭に作られた側枠を修理して作られた。ショーケースの中は、ジョストフの絵で飾られている(UG-ART HOME DESIGN工房)。
アンドレイはロシアの伝統的な素材であるフェルトの絨毯というテーマを発展させている。絨毯は、コンピュータ数値制御キルティングによるデジタルプリントで装飾されている。プリントはかつて民族衣装につけられていた刺繍を基にしたものとなっており、描かれたパターンはスーパーパワーを連想させる。カムフラージュで姿を隠しつつ、戦いでは優位に立ち、アートメイク(狼の毛皮のような)はお守りの役割を果たす。
ジェルティシェフはロシアのアートシーンにおいて、芸術作品の中に初めてNFT技術を取り入れたデザイナー。そんなジェルティシェフは、ハイテクチェスを考案した。デジタル空間における製品の正統性をチェックするためのバーチャル「パスポート」が付属している。デザイナーは香港の作品を使っている。ジェルティシェフはインダストリアルデザインの新しいスタイルは「トークン」や「ブロックチェイン」だと確信している。チェスは20点の限定数のみ作られている。宝飾品さながらの駒は、高精度3D印刷を基に作られ、手作業で仕上げられている。
プラスチックを加工したマスクは、2021年、国際プラスチック賞のファイナリストに入った。「re:d totems」と名付けられたコレクションは、スラヴの儀式にインスピレーションを得た8つのデザインから成る。こうして過去と現在が融合するのである。かつてマスクは枝や白樺の樹皮、リボンなどを使って作られていたが、現在は人類のために再利用できるプラスチックを加工したもので作られている。
画家でデザイナーのグリゴーリーはロシアのルーツに目を向け、ロシアの国民的文化のパターンを再解釈している。2021年には、新しいモスクワの宝石ブランドBun Jewelleryのための櫛のコレクションをスタートさせたことで一躍有名になった。新たな文化コードを模索しつつ、モダニズム風の伝統的なロシアのヘアアクセサリーを作り出している。
アレクセイの作品は2021年、IDA国際デザイン賞を含む、権威あるデザイナー賞を数十、受賞した。ランプのイメージは、神聖なる意味を持ち、お守りの役目を果たした古代の装飾を思わせる。当時は、そこに貝殻で飾ったが、それが今はハイテクとなっている。ランプは天井に磁石で装着し、エネルギーが構造物を支えるロープに直接伝わる。そのおかげで、ランプは重さを感じさせず、軽くてシンプルなものに感じられる。灯りはLEDリボンを源とし、吹きガラスの「ネックレス」が装飾として使われている。
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