写真提供:オレグ・ニキシン/Getty Images for MBFW Russia
新人デザイナーの誰もがMBFWRで完全なショーを行えたわけではないが、新鮮でかなりおもしろいコレクションが多かった。デザイナーのリュダ・ニキシナのブランド「リュダ・ニキシナ」(Luda Nikishina)は、すでにモスクワでは知られている。ありとあらゆるファッション・ショーを素通りして、ずっとデビュタントにとどまっていたことは驚きだ。
リュダ・ニキシナといえば、まずコート。エレガントで、シンプルで、時にクラシックだったり、そうでなかったり。最近はビビッドな毛皮のコートもトレードマークになりつつある。設計を専門としているニキシナは、複雑なカットに特別な注意を払う。人気の高いカラフルな毛皮のコートがロシアのファッション誌のページから消えることはない。最近では世界的なファッション・サイトStyle.comで、アウターの上位にも選ばれている。
モスクワ出身のデザイナー、クセニヤ・グリシチェンコのブランド「カイフ・アンド・カイフ」(Kajf&Kajf)。本革仕様のこの新しいファッション・ブランドのショーは、MBFWRで注目された。
グリシチェンコは専門(租税コンサルタント)とはまったく違う分野で活動しているが、コレクションは完璧ですっきりしていた。ショーのベースはレザーのスカート、ドレス、パンツ、スエードのオーバーオール、またバーガンディ、ブルー、エメラルドグリーン、レッドの色調の厳格なシルエットのジャケット。欧米のブランドが「エコレザー」に切り替える中で、このブランドは技術革新を主張してはいないが、美しく、汎用性の高い衣服であることに間違いない。デビューとしては上出来すぎるほどだ。
ダーシャ・セリヤノワはモスクワにあるイギリス・デザイン高等学院を卒業した後、留学先のロンドンに残り、自分のブランド「ZDDZロンドン」(ZDDZ London)を設立した。現在はショールームやコラボ・プロジェクトが多数あるロンドンとモスクワを行き来している。音楽への愛がラッパーのニッキー・ミナージュや歌手リタ・オラとのコラボに導いた。
2015-2016秋冬コレクションでは、作業服やセリヤノワの子ども時代である90年代にインスパイアされたワードローブのアイテムに、広告キャッチコピーのプリントを採用している。ZDDZロンドンは、都会のコンテンポラリーな若者の服をつくり、チグラン・アヴェチシャン(Tigran Avetisyan)などとともに、ロシア発の新しいファッションの波となっている。
朝鮮系ロシア人のデザイナー、ジェーニャ・キムのブランド「Jキム」(J.Kim)は、2013年に立ち上げられた。すでにモスクワのショールーム「インデックスフラット」で販売されており、ファン・クラブもできている。キムはまだモスクワ芸術産業大学に在学中であるが、明るい未来が待ち受けていることを証明した。
オリジナルなファッションへのアプローチは、有名デザイナーにもうらやまれそうだ。コレクションでは、日本と朝鮮の伝統的な衣装、ジョアン・ミロの抽象画、男性と女性の要素が絡み合っている。キムの主なインスピレーションの源は、アジア諸国、特に朝鮮の文化。その際、アジアの衣装をアレンジし、忘れ去られた応用芸術を採用しているにもかかわらず、非常にコンテンポラリーでトレンドに合ったカットに仕上がっている。ビビッドでインデビジュアルなスタイルという、デザイナーにとって重要な要素を、23歳にして備えている。
若きデザイナー、オリガ・シュルィギナは2年前、ブランド「キャップ・アメリカ」(Cap America)を立ち上げた。これまでに、国際コンテスト「ロシアのシルエット」(2013年)、「青年創意企業家(Young Creative Entrepreneur)」(2014年)で優勝しており、エルマンノ・シェルヴィーノで研修も受けている。
キャップ・アメリカという名称は、シュルィギナが愛してやまないアメリカの機能的なスタイルからきている。コレクションは、構造的なファッションのベース、新しい技術素材、ポップアート・スタイルの斬新なカラー・ソリューションにインスパイアされている。非対称的なドレスやロング・コートには、 MBFWRのファッション評論家の熱い視線が注がれた。</p>
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