プロコフィエフの幻のオペラをウラジオで復元上演

ヴィタリイ・アンコフ撮影/ロシア通信

ヴィタリイ・アンコフ撮影/ロシア通信

沿海オペラ・バレエ劇場の専門家らが、セルゲイ・プロコフィエフの最後のオペラ「真実の人間の物語」の原典版を復元した。同劇場のアントン・ルブチェンコ芸術監督が語った。

 「様々な資料をつき合わせ、この作品の当初の姿を復元することができた。非常に微妙な作業だったが、ある程度は、プロコフィエフ作品を演奏してきた経験にも助けられた。自分が一番の拠り所にしたのは、プロコフィエフ自筆の部分だ」。ルブチェンコ芸術監督はこう述べた。

 

苦心の原典版復元 

 作曲者の手になる原典版を再現するために、同劇場の職員たちは、残っているあらゆる総譜、草稿や、上演されずに終わった演出の資料などを比較した。これらのアーカイブは、ボリショイ劇場と国立古文書館に保存されている。とくに突っ込んで研究されたのは、実現しなかった1948年と1960年の上演のために準備された総譜だ。

 プロコフィエフは、オペラ「真実の人間の物語」を1948年にソ連文化省の委嘱で作曲した。台本は、ボリス・ポレヴォーイの同名の中編小説に基づく。これは、ソ連邦英雄の称号をもつソ連空軍パイロット、アレクセイ・マレシエフに関する実話によるもの。

 第二次世界大戦中、マレシエフは両脚を失いながらも戦列に復帰。計86回出撃し、11機撃墜の戦果を上げた。しかも、うち7機は復帰後のものだった。

 

思想的理由により… 

 オペラ「真実の人間の物語」の原典版は、これまで二度上演が試みられた。最初の1948年は、ゲネプロの後で“思想上の考慮により”上演が禁じられた。当局の見解では、このオペラには、勝利におけるソ連共産党の役割が十分反映されていないというのであった。

 1960年には、ボリショイ劇場で再演しようとしたが、台本に多くの改変が加えられた上、音楽の一部が削除されてしまった。それでやっと舞台に乗せることができたという。

 

ついに原典版が日の目見る 

 来たる5月7日、沿海オペラ・バレエ劇場で開催されるフェスティバル「平和を守りつつ」でついに初めて、プロコフィエフの原典版が上演される。演出は、サンクトペテルブルクの演出家ユーリー・アレクサンドロフで、同市のマリインスキー劇場でプロコフィエフとショスタコーヴィチのオペラを手がけた経験をもつ。

 

記事全文(露語)

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