マースレニツァのおいしいアレンジ

レストラン「マクシム・バー」のアンドレイ・オルロフ料理長のブリヌィには、オリジナリティーがあふれている。美食家のために黒いブリヌィを考案した。=写真提供:Press Photo

レストラン「マクシム・バー」のアンドレイ・オルロフ料理長のブリヌィには、オリジナリティーがあふれている。美食家のために黒いブリヌィを考案した。=写真提供:Press Photo

「マースレニツァ(乾酪週)」は冬に別れを告げ、春を迎えるロシアの祭(カトリック教諸国の謝肉祭にあたる)で、太陽を象徴するブリヌィ(クレープ)を食べる。2015年のマースレニツァの期間は2月16日から22日まで。ブリヌィの種類について、モスクワの一流レストランのコックにロシアNOWが聞いた。

ブリヌィの作り方はこちらで:


マースレニツァのブリヌィ(パンケーキ)

 マースレニツァは復活大祭前の40日の大斎に先立つ祭。民衆はこの週、陽気に遊楽し、また乳製品や卵も禁食となる長く厳格な節食期間を前に、お腹いっぱい食す。マースレニツァの食卓にあがる主な料理は、イクラ、キャビアや魚のブリヌィ。肉は厳禁で、大斎前の最終日にのみ食べることが許される。

 今日、このような斎戒を守る人はあまり多くないため、マースレニツァはブリヌィを焼いて、家に客人を招いたり、レストランに集まったりする機会ととらえられている。

 

さまざまなブリヌィ

 マースレニツァに向けて一番気合が入っているのは、おしゃれなレストランのコックたちだ。目や舌の肥えたブリヌィの通を驚かせようと、誰もが特別なメニューづくりをしている。

 「当店には、キビ、ソバ、またヒヨコマメやレンズマメといったグルテンフリーなどのさまざまな種類の粉からつくられたブリヌィ、ブリヌィ・ラザニアやブリヌィ・ピラミッドがある。オレンジスフレの甘いブリヌィといったおもしろいメニューもある」と、レストラン「ポエハリ」のコック、エレーナ・チェカロワ氏は話す。

 このようなメニューの多くは、家庭の台所でも簡単につくれるという。「ラザニアをつくる時にブリヌィを用いることが可能。イタリアのラザニアの好きなレシピを選んだら、普通の生地の代わりにブリヌィを使うだけ。ボロネーゼ・ミートソースやナスを使っても大丈夫。とてもおいしいブリヌィがすぐにできる」。この料理には薄いイースト入りブリヌィを使うことをチェカロワ氏はすすめる。

 厚いイースト入りブリヌィ(パンケーキ)には中身を用意し、また薄いブリヌィを一緒に使ってもいいという。「当店はサーモンのブリヌィ・ピラミッドという楽しいメニューを考案した。基本材料として厚いブリヌィを使い、そこに中身をのせて、薄いブリヌィで覆い、それをオーブンで焼く。外側をきれいに仕上げるために、オランデーズ・ソースやベシャメル・ソースを塗ってもいい。キビ粥を大きな厚いブリヌィに加えて、サーモンをその上にのせることもできる。私は生サーモンとスモーク・サーモンの組み合わせが好き。濃厚なチーズソースをつくって魚に塗り、それを薄いブリヌィで覆って、オーブンで3~4分焼く。とてもおいしくできあがるし、家庭でもつくれる」とチェカロワ氏。

 

米粉のブリヌィに黒いブリヌィ

 さまざまな種類の粉を使うことでオリジナルな味のブリヌィができるという点で、レストラン「ラグアウト」のコック、アレクセイ・ジミン氏も、チェカロワ氏に賛成だ。「主に伝統酵母のブリヌィがつくられているものの、料理にもグローバル化の波が押し寄せ、ブリヌィの世界がとても豊かであることが判明した。米粉のブリヌィ、インドのブリヌィなどもそう。このようにして、どこの国でも太陽の象徴として、ブリヌィのアレンジができる」。中身も種類豊富にできるという。イクラ、サワークリーム、ジャムといった典型的な食材だけでなく、チーズを含む各種ムースや複雑なソースも取り入れることが可能。「これでなければいけないというものはなく、コックはあれこれ組み合わせるのが好き。例えば、イクラ、キャビアとチーズ・ソース、魚とフェイジョア。これで複雑な珍味となる」。ジミン氏は、自身の店で「自転車の再発明」はせず、フォルシマク(パテ)やチーズ・ムースなどの中身をブリヌィにつけると話す。

 レストラン「マクシム・バー」のアンドレイ・オルロフ料理長のブリヌィには、オリジナリティーがあふれている。美食家のために黒いブリヌィを考案した。「霜降り牛肉を添えたブラック・ブリヌィをつくっている。小麦粉にイカ墨を加えている。イカ墨自体に塩辛い海の味があるが、それはほとんど感じない。生地の着色には微量しか使わないため」。ただし、オルロフ料理長によると、このようなブリヌィは脱マンネリ化を望むロシア人向けの料理であって、外国人はイクラやキャビアを添えたクラシックなブリヌィを好むという。