『国家建設のイコノグラフィー:ソ連とユーゴの五カ年計画プロパガンダ』

刊行:2014年3月

亀田真澄 著

成文社

 新進気鋭の研究者による、鮮烈なデビュー作である。ソビエト連邦と旧ユーゴスラヴィアにおける5ヶ年計画プロパガンダの手法は、第二次世界大戦をはさんで20年ほどのタイムラグがあるにも関わらず、一見すると非常に似通っている。ところが、「ライヴ性」と「媒介性」という概念を持ち込むことによって、共産圏の「中心」たるソ連と、「周縁」たるユーゴの本質的な差異が明らかになっていくのだ。本書は読みどころ満載だが、特に第4章で紹介されている、「飛び出す絵本」式のしかけがあるグラフ誌『ソ連邦建設』は、ノスタルジックかつ斬新なデザインで面白い。ほかに、鉄道建設の宣伝映画の分析(第3章)、労働英雄の肖像の比較(第5章)など、どの章も着眼点が刺激的だ。