電話一本で出張してくれる劇場

「テニ」劇場にはもう一つのプロジェクト「ボリショイ・ロイヤル・アカデミー国民ドラマ・オペラ・バレエ小人劇場」がある。小人劇場は「テニ」劇場の中にあるミニ劇場で、舞台、オーケストラ・ビット、平土間席、ボックス席があり、オーケストラ・ビットにはおもちゃの小さな楽団、観客席にはおもちゃの小さな観客がいる。来館者はこの小さな劇場の窓から、オペラグラスを使って人形の演劇を見る。=ドミートリイ・アレスコーフスキイ撮影/タス通信

「テニ」劇場にはもう一つのプロジェクト「ボリショイ・ロイヤル・アカデミー国民ドラマ・オペラ・バレエ小人劇場」がある。小人劇場は「テニ」劇場の中にあるミニ劇場で、舞台、オーケストラ・ビット、平土間席、ボックス席があり、オーケストラ・ビットにはおもちゃの小さな楽団、観客席にはおもちゃの小さな観客がいる。来館者はこの小さな劇場の窓から、オペラグラスを使って人形の演劇を見る。=ドミートリイ・アレスコーフスキイ撮影/タス通信

モスクワでもっとも奇妙な劇場プロジェクトはこれだ。「救急劇場車」なるものが、予約の数日後、観客の前に到来する(医療分野の救急車と違い、数分後というわけにはいかないが)。家の前に止まった「メルセデス」の劇場マイクロバスの中では、人形劇のオペラが始まる。

「救急劇場車」

 出演者が「劇場車」と呼ぶこのマイクロバスは、外観的にも救急車に似ている。車内には小さな人形用の舞台、オーケストラ・ビット、客席があり、収容可能な観客はわずか3人。50分間の間に世界のクラシック・オペラ5本を10分ずつ上演する。

 女優で「テニ」劇場の管理者を務めるアナスタシヤ・デミホフスカヤ氏は、ロシアNOWにこう話した。「躍動的な短縮版オペラの夕べというプロジェクト。しっかりとストーリー、役、主要なアリアのある完全なオペラになっている。演目には「蝶々夫人」、「カルメン」、「エヴゲーニイ・オネーギン」、「イワン・スサーニン」、またオペレッタの「シルヴァ」もある」

 この移動式劇場のアイデアは、中世から知られている。「テニ」劇場のイリヤ・エペリバウム芸術監督はこう話す。「ロシアの気候条件に一番合うのがマイクロバス。冬は暖房、夏はエアコンをつけ、あらゆる天候に対応できる」

 

小人劇場

 「救急劇場車」は「テニ」劇場のプロジェクト。「テニ」劇場は1988年にモスクワに創設された影絵劇や人形劇の劇場だ。当初は芸術家のエペリバウム監督と女優のマイヤ・クラスノポリスカヤ氏による民間劇場だったが、モスクワ市が場所を提供し、市立劇場になった。

 「テニ」劇場にはもう一つのプロジェクト「ボリショイ・ロイヤル・アカデミー国民ドラマ・オペラ・バレエ小人劇場」がある。小人劇場は「テニ」劇場の中にあるミニ劇場で、舞台、オーケストラ・ビット、平土間席、ボックス席があり、オーケストラ・ビットにはおもちゃの小さな楽団、観客席にはおもちゃの小さな観客がいる。来館者はこの小さな劇場の窓から、オペラグラスを使って人形の演劇を見る。

 最初からおとぎ話のような雰囲気に入り込むことができる。エペリバウム監督とクラスノポリスカヤ氏は、ミリカル島の小さな島民に関する物語を考案した。

 どの演劇にも小さな人形が出演しているが、人間が踊るバレエ「ポリフェムスの死」もある。踊っているのはボリショイ劇場のスター・ダンサーであるニコライ・ツィスカリゼ氏。舞台が小さいため、見えるのはツィスカリゼ氏の足だけだ。

 

シェークスピア5本立て

 もう一つの「テニ」劇場のプロジェクトはククカフェ。部屋に大きな木彫りのチェストがあり、中に人形用の舞台がある。チェスの前には3人用のテーブルが5台あり、戯曲の合間に料理が運ばれてくる。そしてシェークスピアの演劇の演目メニューも渡される。各テーブルで一つの戯曲を選ぶことができる。このようにして、事前にはわからない、シェークスピアの戯曲5本が上演される。戯曲の上演時間は10分。

 「メニューにシェークスピアの戯曲すべてを載せたいが、今のところ10演目しかない。残りは練習中。戯曲はわずか10分間だが、準備には普通の演劇と同じ時間がかかる」とクラスノポリスカヤ氏。

 エペリバウム芸術監督は、ドイツの蚤の市で指人形を見つけた。ドイツの子どもが1920~1930年代に遊んでいたおもちゃだ。だが人形が足りないことが判明し、次にネット・オークションを通じて探した。屋根裏部屋で埃をかぶっていたおもちゃが役に立つと知ったドイツ人は、エペリバウム芸術監督に人形を発送するようになった。

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