『ピョートル大帝 西欧に憑かれたツァーリ』

刊行:2013年12月

土肥恒之 著

山川出版社  

 織田信長が日本史のスーパーヒーローなら、ロシア史のそれはピョートル大帝だ。  

 両者には奇妙な共通点がある。二人は狂気と見まがうほど旧制度を憎悪し、舶来の新技術を偏愛し「改革」に取りつかれた。強力なライバル(甲斐武田とスウェーデン)に学びつつ、好運と知略でこれを制したが、大業半ばにして壮年期に不慮の死を遂げた。  

 本書は、ロシア史家きっての才筆が当時の社会状況・国際情勢を視野に入れ、ピョートル大帝の生涯とその偉業の功罪を考察する。ロシア史入門者はもちろん、懇切な用語解説があり、上級者にも、読んで得する充実した内容となっている。博大な学識をコンパクトで丁寧な筆遣いでまとめた魅力的な一冊だ。