『ロシアとソ連 歴史に消された者たち 古儀式派が変えた超大国の歴史』

 刊行: 2013年3月

 下斗米伸夫 著

 河出書房新社

 

 古儀式派とは、17世紀にロシア正教が断行した儀式改革に反対して生まれた宗派勢力の総称である。異端とされたため神秘的なイメージがあり、これまで文化史的な枠組みで語られることも多かった古儀式派の問題に、本書ではソ連・現代ロシア政治の専門家として知られる著者が大胆に切り込んでいる。ロシアが民族を超えた普遍的「正教帝国」となることに抵抗した彼らは、国内外に独自のコミュニティとネットワークを形成、ロシア繊維産業の勃興を担い、ロシア革命期には労農兵「ソビエト」の発生にも少なからず関係したと推測される。古儀式派的なるものを文明としてのロシアの基層に見る本書は、今現在のロシアをめぐる国際情勢を見るうえでも参考になる視角を与えてくれるだろう。