ロシア人俳優のユーリ・コロコリニコフ=Lori/Legion Media撮影
ゲーム・オブ・スローンズは、アメリカ有数のケーブル・チャンネル「HBO」の人気作の一つ。HBOはドラマ「ザ・ソプラノズ」で革命的な転換点を迎えている。果てなく続くメロドラマに背を向け、マーケティング方針を見直し、ドラマの新たな方向性を定めた。
ゲーム・オブ・スローンズは、ジョージ・R・R・マーティンの小説「氷と炎の歌」が原作。アメリカのテレビドラマ界でもっとも高額で成功したプロジェクトの一つで、ファンタジーのジャンルではもっとも高額なプロジェクトとなっている。
ファンタジーとは言っても、さまざまな奇跡が起きるわけではない。架空の王国や大陸が出てくるものの、史実に近い、一種の時代劇の要素を含むドラマだ。さまざまな栄えある賞にノミネートされており、エミー賞やヒューゴー賞も受賞。世界中でファン・グループも生まれている。
演じるのは好戦的な部族の族長スター
コロコリニコフ演じるスターには、耳も髪の毛もない。スターは野人を率いて黒の城を占拠するために壁を攻撃する。さて、その先はどのように展開していく のだろうか。熱狂的なファンは原作を読んで詳細を研究しているため、この場面についてはよく知っている。だがコロコリニコフがどのように演じるのかについ ては、まだわかっていない。
コロコリニコフは子供時代を、ロシア、アメリカ、カナダで過ごし、カナダの市民権も持っている。母が通訳で、母について引っ越しをしていた。その後ロシ アに戻り、演劇学校を卒業し、2000年に再びアメリカで生活を始めた。約1年アルバイトなどをしながらハリウッドを目指したが、その後ロシアに帰国して 俳優として活躍。モスクワの有名な「現代人劇場」の舞台に立ち、数々の映画やテレビドラマに出演した。作品の中には戦争映画「1944年8月」、人気のテ レビドラマ「アルバート街の子供たち」、また反響の大きかった今年の映画「秘めた部分」などがある。ロシアで成功しながらも、ハリウッド進出の夢をあきら めなかったコロコリニコフに、ようやく活躍の場が与えられた。これはハリウッドではないが、アメリカの人気ドラマに出演できることは大きい。
ロシア系の先輩たち
コロコリニコフは、アメリカのドラマに出演した、初のロシア人俳優というわけではない。同じくHBOの大ヒット・ドラマ「セックス・アンド・ザ・シ ティ」で、キャリー・ブラッドショーの恋人アレクサンドル・ペトロフスキーを演じたミハイル・バリシニコフや、「ザ・ソプラノズ」に出演したアーラ・ク リュカ、オクサーナ・ラーダなどもいる。ラーダは主人公であるトニー・ソプラノの愛人の役、クリュカはその片足の女友達の役を演じている。クリュカの役柄 はとても印象深い。
またアメリカに渡ったナタリヤ・アンドレイチェンコやエレーナ・ソロヴェイもいる。2人はロシアのスターだった。アンドレイチェンコは、アンドレイ・コ ンチャロフスキー監督の世界的に有名な映画「シベリアーダ」や、イギリスのパメラ・トラバースの児童文学「メアリー・ポピンズ」を原作としたソ連映画「メ アリー・ポピンズ、さようなら」に出演し、ソロヴェイはニキータ・ミハルコフ監督や、その他の有名な監督の映画に出演している。アメリカでの2人の役は、 ロシア語なまりの英語によって制限されるため、わき役としてや、関連題材の物語にしか出演することができない。だがこのような”隙間”で活躍している俳優 もいることは確かだ。例えばアメリカで昔から活動しているイリヤ・バスキン。アメリカの映画やドラマのロシア人役をほぼ独占していた。
新世代登場
アメリカで生活した経験がある、または子供時代から英語を学んでいた若い世代のロシア人俳優とって、アメリカ進出はより楽なものとなる。例えばアメリカ 映画のスターであるアントン・エリチンやマルガリータ・リヴィエワ。リヴィエワは「リベンジ」などのテレビドラマやさまざまな映画に出演しているが、 2005年にはアメリカの週刊誌「ニューヨーク」によって、「ニューヨークでもっとも美しい50人」の一人にも選ばれた。この世代に属するのがコロコリニ コフだ。アメリカにもバックグラウンドを持ち、野望と才能があるのだから、このドラマの後でハリウッド映画に出演できるチャンスは十分ある。
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