ドミトリー・ペトロフ氏=PhotoXPress撮影
-新しい言語を学習する際、心理的なものはどのように影響するのでしょうか。
語学の学習とは心理学であり、数学であります。言語学の数学とは基礎アルゴリズムの領域であり、心理学とは障壁の除去、気楽さ、自由、喜びです。多くの外国語学習者が、間違えることを極度に恐れるあまり、自ら上達を妨げてしまうことが多いのです。新しい情報を得る際の客観的困難よりも、こちらの方が悪影響 となります。
-ロシア語を学ぶ動機とは、どのようなものでしょうか。
外国人の外交官やビジネスマンにロシア語を教えた経験がありますが、このような人々の動機は明らかで、仕事のために学習が必要なのです。人生における キャリアや自分のビジネスを重視し、ロシアでその発展の可能性を得た人々です。しかしながら、ロシアに一度も来たことがなくても、ロシア語に興味を示す人 もたくさんいます。一般的には、ロシアの文化に興味を持ち、次に文化のプリズムを通して言語に興味を持つようです。
多くの外国人は、ロシアの活発で寛大な文化生活に驚きます。モスクワのクレムリンやサンクトペテルブルクのエルミタージュ以外にも、ロシアにはおもしろい場所がたくさんあることを知り、なぜロシアで観光業が大きく発達していないのかを不思議がります。
-ロシア語は学ぶのが極めて難しい言語であるという固定観念を、外国人はずっと抱いているようですが、実際に難しいのでしょうか。
いかなる外国語を学習する時でも、その優位性と豊富さを予期しておかなければなりません。ロシア語には格変化があって確かに難しいですが、その代わりに冠詞はありません。ロシア語には活用変化がありますが、英語ほど時制は多くありません。ロシア語はキリル文字を使いますが、他の一部ヨーロッパ言語ほど、 正字法と音声学の差はありません。つまりどの言語にもプラスとマイナスがあるということを理解した上で、学習を始めればいいわけです。
-ロシア語の学習を簡単にする方法はありますか。
ロシア語を学ぶ時は、しっかりと段階を踏むことがとても重要です。最初に基礎を固めることが必要です。例えば、外国人学生にいきなり形動詞構文を説明するようなことがあってはなりません。これは口語で使われなくなって久しいのですから。学習者はドストエフスキーの本をロシア語で読み始めるまで、形動詞構文を知らなくても大丈夫です。すべてのイギリス人がシェークスピアを読んでいるわけではないのと同じで、ドストエフスキーもすべてのロシア人が読んでいるわけではないので、知らないことを恥に思う必要はありません。
-ロシア語を学んで、それを生かすことはできるのでしょうか。今は英語を学んだら、ロシア人を含むさまざまな国の人と会話ができますよね。
ロシア語への関心は高まると信じています。その客観的理由とは、ロシアが地理的な大きさに限らず、大国であるからです。一方で、汎用言語としての英語は、経済や文化のグローバル化の言語になるべく、大きな代償を払いながら、今後さらに簡素化されていくでしょう。
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