刊行:2012年11月
ポルドミンスキイ著
尾家順子訳
群像社
ロシア絵画は文学や映画に比べて、日本ではまだなじみが薄い。
批評家の小林秀雄が「ロシヤ近代文学は、驚くべき高所まで達したが、絵画界はそういうものではなかった」と述べたのは、半世紀前のことだ。
その後、20世紀初頭のアバンギャルド芸術が紹介され、カンディンスキーやシャガールがロシア出身であることも注目されるようになったが、小林が念頭に置いていた19世紀ロシア絵画は、今なお広く知られているとは言いがたい。
各章をトレチャコフ美術館の展示室に見立て、レーピン、アイワゾフスキー、クインジ、レビタン、ヴルーベリらの作品と、それらにまつわるエピソードを平易に語る本書は、この空白を埋めてくれる。
近代ロシア絵画の入門書として格好の一冊である。
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