マリインスキー劇場のプリマ・バレリーナ、ディアナ・ヴィシニョーワの日本公演には、世界の一流ダンサーが集結する =コメルサント紙撮影
ヴィシニョーワが世界の一流ダンサーを引き連れて、東京で「ディアナ・ヴィシニョーワ ― 華麗なる世界」公演を行う。公演日は8月17、18、21、22日、会場はゆうぽうとホール。
ヴィシニョーワはこう話す。「”自分の”ガラコンサートの依頼はたくさんあるけれど、ガラというジャンルがあまり好きではないのでいつもお断りしてい た。ガラには私が重視している完全なバレエの雰囲気がないので。引き受けることはめったになく、日本公演は特別なケース」。
世界のダンサー
ヴィシニョーワの公演には、マルセロ・ゴメス(アメリカン・バレエ・シアター)、デヴィッド・ホールバーグ(ボリショイ・バレエ、アメリカン・バレエ・ シアター)、イーゴリ・コルプ(マリインスキー・バレエ)、ティアゴ・ボァディンとエレーヌ・ブシェ(ハンブルグ・バレエ)、アシュレイ・ボーダーとホアキン・デ・ルース(ニューヨーク・シティ・バレエ)、マチアス・エイマンとメラニー・ユレル(パリ・オペラ座バレエ団)などの世界の一流ダンサーが勢ぞろいする。
「私を応援してくれる友人は、ただの一流ダンサーではないの。誰が一緒に踊ってくれるのかが、私にとってとても重要。踊りたいと思うダンサーを招いて、どんなに忙しくても皆がかけつけてくれるなんて感動的」。
2つのプログラム
東京では2つの一幕バレエを含む、2つのプログラムが披露される。ヴィシニョーワはアルベルト・アロンソ振り付けの「カルメン」と、ジョン・ノイマイヤーの「ダイアローグ」、そしてマルセロ・ゴメスと「オネーギン」および「椿姫」を踊る。
「日本の観客はクラシック演目が大好きなの。だから『動く美』や『ダイアローグ』といった、現代的なプログラムを持って行こうなんて思いもしなかった。 でもジョン・ノイマイヤーの『ダイアローグ』や、プティパ、バランシン、プティの作品が見事に融合したみたい。このようなプログラムを集めることができたこと、そして日本の観客のため、私自身のために記念となる公演ができることをとても嬉しく思う」とヴィシニョーワ。
マルセロ・ゴメスは、「カルメン」で踊ることが新たな道を拓くと話した。「ディアナとまた踊れることはとても嬉しい。これまで東京で「オネーギン」や「椿姫」を踊ったことがなかったから、日本の観客のためにこれらのパ・ド・ドゥを是非披露したい」。
ブラジル人のソリスト、ティアゴ・ボァディンは、「ダイアローグ」で男性のパートを踊る。夢が現実になるのが今回の公演だと話す。「舞踏芸術や芸術の新たな洞察を全世界に示す、ディアナの大胆さには感動する。キーロフ・バレエのブラジル公演で初めてディアナを見た時、僕はまだ少年だった。そして今、こう やってディアナと同じ舞台に立ちながら、世界を回ってるんだ」。
日本への特別な愛
ヴィシニョーワが初めて来日したのは、ワガノワ・バレエ学校の生徒だった時だ。
「ローザンヌ国際バレエ・コンクールで金賞を受賞した後、ワガノワ・バレエ学校の公演で来日したの。17歳の時だった。まだ生徒なのに、キャリアのある スターとして迎えてもらった。日本ではバレエもローザンヌ国際バレエ・コンクールも大人気なの。あれからマリインスキー劇場の定期公演や、他のプロジェク トでひんぱんに日本に行っているから、長い愛の物語になるわね。日本が良い国だからというだけではなくて、観客が特別だから、いつも日本に行きたいと思っ ている。皆が愛してくれて、待ってくれていると感じる。これは私だけではなくて、どんなアーティストでも日本で居心地の良さを感じ、観客の愛を感じてい る」。
福島原発事故が起きた後の2011年8月、多くのアーティストが日本公演を拒んだ。だがヴィシニョーワとボリショイ劇場のセミョン・チュジンは、「ジゼ ル」を踊るために東京に飛んだ。「それまでに放射線の脅威はないということがわかっていたけれど、皆が日本に行くことについて警戒していた。私とセミョン は東京バレエ団と2つの劇で踊るという緊急提案に合意した。日本のバレエ・ファンにとってこれが重要なことだとわかっていたから。私たちがそれまでに受けてきた温かい気持ちを、少しでもお返しできたらって思って」。
ヴィシニョーワは今回の日本公演の後で少し休暇を取り、その後アメリカの11月の公演に向けて、新しいプロジェクト「オン・ジ・エッジ」に取り組む予定。ロシアの観客がこの新しい演劇を見るのは来年の初めになる。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。